アンパンマンのやなせたかしによる名作! 「わたしが正義について語るなら」

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(011)わたしが正義について語るなら (ポプラ新書)というアンパンマンの著者のやなせたかしさんが正義感についてかたる本を読みました。

ぱっと帯に惹かれて読んでみたのですが、これはめちゃくちゃ面白かったです!

 

自分には弟・妹がいるので、中・高生くらいのときに、家でよくアニメが流れていたのですが、その中でけっこうアンパンマンは好きなほうでした。

その理由が少し分かる、そういう部分に意外と自分は惹かれていたのかなっていうことが、何となくわかって面白いです。

 

正義の味方って本当にかっこいい?

正義の味方について考えてみよう

・正義についての考えは、アンパンマンが最初に絵本『あんぱんまん』になった時のあとがきに書いています。まず、そのあとがきを読んでみて下さい。

子どもたちとおんなじに、ボクもスーパーマンや仮面ものが大好きなのですが、いつもふしぎにおもうのは、大格闘しても着ているものが破れないし汚れない、だれのためにたたかっているのか、よくわからないということです。
ほんとうの正義というものは、けっしてかっこうのいいものではないし、そして、そのためにかならず自分も深く傷つくものです。そしてそういう捨身、献身の心なくして正義は行えませんし、また、私達が現在、ほんとうに困っていることといえば、物価高や、公害、飢えということで、正義の超人はそのためにこそ、たたかわねばならないのです。
あんぱんまんは、やけこげだらけのボロボロの、こげ茶色のマントを着て、ひっそりと、はずかしそうに登場します。自分を食べさせることによって、餓える人を救います。それでも顔は、気楽そうに笑っているのです。
さて、こんな、あんぱんまんを子どもたちは、好きになってくれるでしょうか。それとも、やはりテレビの人気者のほうがいいですか。

食べ物がないのは耐えられない

・ぼくが飢えを実感したのは兵隊として戦争に行った時でした。兵隊は大変なんですよ。

・耐えられないのは何かというと、食べるものがないということだったのですね。それ以外のことは、けがをしても薬をつけていれば治るし、たいていのことは我慢できるのだけれど、ひもじいということは耐えられません。

どっちが正義でどっちが悪?

・戦争で感じた大事なことがもう一つあります。それは、正義というのはあやふやなものだということです。

・正義はある日突然逆転する。逆転しない正義は献身と愛です。

ばいきんまんは良い人に弱いんだ

・ばいきんまんの場合は、何か悪いことをしても全部信じてしまう、誠意そのものというような人に会うと時々ダメになる。

・「アンパンマン」は、そういう部分が他の正義対悪の物語とはちょっと違うかもしれません、悪いのに愛嬌があるし、すっとんきょうで失敗する。自分は世界で一番強いと思っているのに、なぜか負けてしまうんだね。

・悪人といえども、全部まっくろの悪人じゃない。善人にも悪い魂はある、悪い人間にも善良な部分はある。ただ悪いやつには悪い分量が多すぎるというだけで、全部まっくろじゃない。善良な方も全部真っ白ではありません。完全に善の人はいない。もいそういう人がいると、とても気持ちの悪い、付き合いきれない人になるはずです。

 

どうして正義をこう考えるようになったか

絵本『あんぱんまん』が生まれた日

・そうやっていろいろな仕事をしながら五十歳が過ぎ、いよいよアンパンマンが誕生することになります。と言っても、アンパンマンはある日突然生まれたわけではありません。アンパンマンが最初に世に出たのは、まだ四十歳の頃にラジオドラマのコントとして登場させた時でした。ラジオやテレビの仕事をたくさんやっていた時です。とにかくなんでもたたきこんでいた。このときに一回だけアンパンマンを登場させたのですが、どういう具合のものだったか、ぼくもほとんど覚えていません。二回目に登場したのは「やなせメルヘン」のいっぺんとして大人向けに書いたものです。

・そしてぼくが五十四歳になった一九七三年、絵本『やさしいライオン』が公表で、フレーベル館から二冊目の絵本を書いて欲しいと注文が来ました。そこでぼくは「あんぱんまん」を書いたのです。(中略)本は大悪評でした。特に大人にはダメだった。

・不評でしたから、しばらくアンパンマンを書く機会はありませんでした。その代わりほかの作品をどんどん書いていました。(中略)でも、アンパンマンへの愛着はなぜか残っていて、自分が編集していた雑誌「詩戸メルヘン」に大人向けの『熱血メルヘン怪傑アンパンマン』の連載を始めました。

・アンパンマンを最初に認めたのは三歳から五歳の幼児です。この世に生まれたばかりで、まだ文字をあまり読めず、言葉もおぼつかない赤ちゃんです。なんの先入観もなく、良くもなく、すべての権威を否定する、純粋無垢な魂を持った赤ちゃんは、冷酷無比な批評家です。

・アンパンマンがなぜウケるのか、今でもぼくには分かりません。でもぼくは真剣に考えるようになりました。そして自分のメッセージをしっかり入れることにしました。。「正義とは何か。傷つくことをなしには正義は行えない」

 

正義の戦い方

相手を殺してしまってはいけない

・アンパンマンは、ばいきんまんが死なないように殴っている。アンパンチは、相手をボカボカに殴るのもわるので一発でボカーンとやってしまおう、アンパンだからアンパンチと簡単に作った技です。ばいきんまんだってやたらにふんづけたり「最後だ、とどめだ!」とかやっているけど、アンパンマンが死ぬことはない。あれもわざと外してやっているんじゃないかと思います。

正義でいばっているやつは嘘くさい

・アンパンマンは戦っていて怖くないのですか、と聞かれることがあります。アンパンマンも怖い時があるんじゃないかと思います。アンパンマンはヒーローの役をやらなくちゃいけないので、自分から怖いとは言えないんじゃないかな。ヒーローは大変なんですよ。

・ばいきんまんやドキンちゃんは、いつも自慢ばっかりしていますが、アンパンマンは「ぼくはすごいんだ」とか「ぼくはエラい」とか自慢しない。慎ましいですよ。正義は勝ったとか言っていばっているやつは嘘くさいんです。

・正義を行う人は非常に強い人かというと、そうではないんですね。我々と同じ弱い人なんです。でも。もし、今、すぐそこで人が死のうとしているのを見かけたら、助けるために飛び込んでしまう。ちっとも強くはない普通の人あっても、その時はやむにやまれぬという気持ちになる。そういうものだと思います。

・「アンパンマンのマーチ」の中に、『愛と勇気だけが友達さ』という歌詞があります。それで抗議がきたことがあるんだけど。これは、戦う時は友達をまきこんじゃいけない、戦う時は自分一人だと思わなくちゃいけないんだということなんです。

とにかくやりつづける

・メソッドを作る簡単な方法はなくて、やってやってやりまくっているうちにいつの間にかできてくるんですね。やなせメソッドは、誰かが真似をしてもできない自分のものなんだね。

好きなもの以外の武器を持て

・でも、漫画家に限らず詩人でも小説家でもそうだけど、マンガ家になりたいと思ったらマンガばっかりみてたんじゃだめなんです。他のこともなくちゃいけない。サッカーでもお料理でもなんでもいい、それが自分の武器になるんだよね。

(011)わたしが正義について語るなら (ポプラ新書)より)

 

この本を読んで、アンパンマンって本当に名作アニメなんだなということを強く感じました。

アンパンマンという幼児向けの作品ですが、この作品の世界観はこんなに面白いですし、やなせたかしさんの価値観がよく表れています。

 

それがあるからこそ、子どもから大人まで惹き付けることができるし、これだけ長い間続く作品になっているんだと思います。

今度アンパンマンを見る時は、やなせさんはこういう世界観・価値観でアンパンマンを作っていたんだということを考えながらぜひ見てみて下さい!

 

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