NPO関係者必読本!! ファンドレイジングが社会を変える

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日本ファンドレイジング協会株式会社ファンドレックス – FUNDREXの代表の鵜尾雅隆さん
「ファンドレイジングが社会を変える」の読書メモです。

ファンドレイジングから寄付文化についてまでそんなに厚い本ではないですが、非常に骨太な一冊です!!

 

また恐らく日本で唯一のファンドレイジングに関する書籍だと思います。

今日本全国色々なところでファンドレイジングに関するセミナー等が開催されているにも関わらずまだこの一冊しかないというのは悲しいですね。

ファンドレイジングに関する書籍ですが、ここでの内容・マインドはNPO関係者は絶対持っておくべきものなのでファンドレイザー以外の役職の人も読んでおくべき一冊です。

この本が出版されたのが2009年なので、そろそろ他にも新しいファンドレイジングに特化した本が出てきて欲しいところですね。

 

 

・そういった新たな社会サービスお担い手が資金的に安定した活動を行える状況にあるかというと、全くそんなことはありません。

・「もっと資金があれば、もっと充実した活動をして、もっと多くの人を救えるのに・・・」それだけの専門性や想いを持つ団体は着実に増えているし、若い方の中にも民間でおうした公益を担う仕事に従事したいと考える人は増えているのに、資金がついてきていない。

 

◆ファンドレイジングを行う上で大切な3つの原則

1.ファンドレイジングを単なる「資金集め」の方法ではなく、「社会を変えていく手段」として捉え直す。

・ファンドレイジングのプロセスは、日本社会に、自分たちの行っている活動の価値を認識してもらうのと同時に、存在する社会問題について啓蒙していくプロセスであるとも言えます。

2.ファンドレイジングは、「施しをお願いする行為」ではなく、社会に「共感」してもらい、自らの団体の持つ「解決策」を理解してもらう行為であると考える。

・従来、「施し」のお金をちゃりんと寄付するという感覚の方が多かったように思います。

・近年は、「なるほど」とある程度納得してから寄付などを行う人が増えているように思います。

・「施しのお願い」というパラダイムから、「共感と解決策の提案」というパラダイムの転換です。

・『私がやっているのは、第一に潜在的支援者に対して、自分のNPOのサービスの受益者たちが抱える問題を説明し、共感を得ること。第二に、NPOが持つ解決策について説明し、納得してもらうこと。この2つを徹底的に繰り返しおこなっているにすぎないのです。』

・「この問題を解決したい」という気持ちをまず共有したうえで、「私たちの解決策が一番ですよね」ということさえわかってもらえれば、たとえ寄付でなくても、何か具体的な支援につながる可能性が高い。

・右脳に入って左脳に落とすコミュニケーションが鍵
(直感的、感覚的な部分で共感しないことには寄付行動は起こりません。そのあとには、論理系(左脳)の要素が続いて出てきます。)

・さらに大切なもう一つのポイントは、「人は人に寄付するのであって、組織に寄付するのではない」という傾向があることです。

・一般的には、寄付行動はその組織を構成する「人」か、支援の受益者の「人」との具体的な接点がイメージができた時に起こりやすいという側面があります。

3.「よい活動をしているのに寄付が集まらないのは、社会が成熟していないからだ」という発想を捨てる。

・「自分たちはよい活動をしているのに支援あ集まらないのは、日本社会が未成熟だからだ」「社会は自分たちを支援するべきである」というパラダイムからの脱却が、とても大切である。

・このパラダイムだと「自分たちは先を走るから、みんな後からついて来い」的な姿勢おコミュニケーションになりがちで、どしても共感が広がりにくいように思います。

4.大きな支援を得るためには、NPO自身も「つり銭型寄付」のパラダイムのみならず、「社会変革型寄付」のパラダイムを念頭に置く。

・何か特定の奥的のためにある程度まとまった金額を寄付するのではなく「気が向いたときに、つり銭程度寄付をする」という好動画中心的に見られるという社会が「つり銭型寄付」の社会です。

・寄付をしたあとの結果や変化を見ていきたいという感覚の寄付を、私は「社会変革型寄付」と呼んでいます。

・その人が寄付した金額が起こしうる「変化」のイメージをNPO側がしっかり説明できることが、「社会変革型寄付」が広まる上で重要な要素です。

・社会変革型寄付は目的思考寄付なので、寄付の成功体験が出やすいという側面があるのです。

・中根千枝氏は著日本人の可能性と限界 (1978年) (青年海外協力隊シリーズ)
」の中で、「日本人の伝統的な価値観に従えば、援助とか助け合いということは、あくまでおなじ仲間のあいだにおいて行われ、身も知らぬ他人を援助すべきなどという信条はない。気まぐれに、あるいはたんなるとおりすがりの道場から乞食にめぐんでやることはあっても、それは持てるものの持たざるものへの義務ではない」と書いています。

・日本社会には、公的サービスはそもそも行政が提供すべきだという考えが非常に強くあります。

・いま求められているのは「税金を支払う」以外の方法によって社会を変えるということだと思います。

5.日本には寄付文化がないのではなく、寄付の成功体験と習慣がないにすぎないと理解する。

・寄付文化に関する私なりの結論はこうです。「寄付の習慣と成功体験の問題であって、文化の問題ではない」

・因数分解して考えると、①NPOの活動自体について、社会の成功体験が限定的である、さらには②「欧米風の寄付行動」のような習慣が限定的にしかなく、したがって、③そうした「欧米風の寄付行動」による成功体験が少ない、のです。

・NPOのような団体を「理屈として重要である」と感じている人はいても、実際にNPOのサービスを受益して、「この機能は社会に必要不可欠である」と肌で感じている人がどれだけいるでしょうか?

・アメリカ社会は、田舎であっても、NPOが、「近所のコンビニ」のような感覚で日常生活に接してくる社会です。

・「行政でもなく、営利活動でもない」社会的機能としての相互扶助システムが日本社会に存在し、それが長年、組織化されていた。

・日本には非営利セクター的な「社会的な抜け落ちを埋める活動」において、二つの大きなルーツがあるように思います。第一は仏教の慈善活動に基づくものであり、6世紀から7世紀にかけて起きたと言われています。第二は協同組合や町内会的な隣組組織であり、それらの存在目的は公共の福祉というよりは、構成員の相互扶助であった。その伝統のなかにあって、明治維新以降は、第三の流れとして、欧米的な富裕層や貴族などによる「チャリティー」の概念が日本にも入ってきています。

・日本の協同組合型・隣組型の組織と、相互扶助的な公的サービスの機能は、日本型のひとつの型といえるかもしれません。

・こうしたひとつの伝統的な価値観の中に、日本の寄付文化があった。そう考えると、仏教寺院とも相互扶助組織とも乖離した、独立した機能体であるNPOに対する寄付は、欧米式の寄付様式であり、日本社会では若干異質な存在であることは確かです。

6.活動の質を高め、適切なマネジメントを行うことは、よいファンドレイジングの前提であると理解する。

・自らの活動を見直し、質の高いせいかを出すこと、そして透明性が高く適切なマネジメントを行うことは、ファンドレイジングを進め、支援者を幸せにするための大前提としてとても重要です。

7.日本の寄付市場の大きな変化の流れに乗る

・「自分たちは、社会と関わっているかけがえのない存在である」ということを、寄付体験を通じて学ぶ子どもたちの姿が見られるようになってきました。

 

◆寄付市場は大きな6つの変化で変わっていく

1.超高齢社会が到来した。

・全体としては以前少数派ですが、遺産を寄付しようとする動きが着実に広がりつつあります。

・こうした中、信託銀行が提供する「遺言信託」などの相続関連商品が多様化したり、遺言を残すことを働きかける取り組みが少しずつ増えてきています。

・実際に活動に参加している高齢者は少ないが、NPOの活動に関心がる高齢者が増えている。

2.新富裕層の台頭と所得格差が拡大してきた。

・富裕層が今の社会状況を見て「寄付したほうがいい」という感覚を起こせば、社会の活力になるでしょう。

・せっかく大口寄付が出てきているのに、NPOがその受け皿として十分認知されていない。

3.企業CSRが本格化してきた。

・日本の企業にとって、積極的に社会貢献することがビジネスの成功と関係する時代が来た。

・「消費者にとって自己負担のない寄付」を顧客サービスや営業の一環で実施する企業が多く出てきました。

4.ワークライフバランスが変化してきた。

5.寄付の成功体験が広がってきた。

・これまでは寄付の「感動」や「達成感」を必ずしも得にくい側面がありました。最近では、感動や達成感、ちょっとイイコトをした感覚を味わえるという意味で、成功している事例が出てきています。

・寄付がご縁で寄付者が幸せになるというモデルが地域で生まれてきている。

6.寄付の「受け手(NPO)」が変わってきた。

・日本の多くのNPOは、「寄付が集まらない」と言う前に、「やるべきこと」をやっていないケースが多い。

・この数年間を見ていると、企業との連携が増えたこともあってか、NPOのコミュニケーション力や寄付者への提案力は相当改善していると言えます。

 

◆「大寄付時代」に向けてクリアするべき4つの課題

1.「資金や情報を仲介する機関」を本物にせねば寄付市場は育たない

・どのNPOが活動実績があり、良い解決策を持っていて、信用できるのか判断するのが個人レベルではどうしても難しいのが実情です。

・資金仲介組織を通じた寄付の流れは、NPOを育てる側面がある。

・一人一人の寄付額は小学でも、資金仲介組織を介して何百人の支援が集まれば、それなりにインパクトがある金額となり、影響力のある支援ができるという側面があります。

2.税金はいいかげん何とかしてくれ
※この本は2009年の著書なので、現在は認定NPO法人の制度は大きく改善されています。

3.NPOのスタッフに世界一「清貧」を求めるのはそろそろやめよう

・良い社会をつくるちう「結果」の実現のために寄付をされるなら、NPOのスタッフの人件費にはもっと寛容になっていただくことが絶対に必要です。

4.NPOももっと変わらないといけない

・今の日本のNPOとアメリカの日本のNPOの経営上の最大の違いは何かと聞かれたら、私は、「理事会のメンバーの責任感」と答えると思います。

・NPOの理事のステイタスを高め、能動的に動く理事の成功モデルを広めていくことが必要です。

 

◆今までのファンドレイジング活動で確信できていることが4点ある。

1.日本に寄付文化がないというのは、正しい表現ではない。

2.これから10年のうちに、大寄付時代が始まる。

3.ファンドレイジングはマジック(魔法)ではない。しかし、日本でもファンドレイジングが成功する「型」は存在する。

4.この5年のうちに、お金を集められるNPOとそうでないNPOの差は急激に広がる。

 

◆ファンドレイジングの7つのステップと15の「技」

1.組織の潜在力の棚卸し

①ファンドレイジング成功の基本セットは「夢」+「物語」+「場」だ!

・「夢」そのNPOが実現したい状況を、実現したつもりになってビジョニングします。

・この夢こそが、NPOや公益法人にとって、ファンドレイジング上、もっとも戦略的に活用可能性のある経営資源です。

・より具体性のあるメッセージがあれば、寄付者は物事を理解するうえでぐっと理解しやすくなります。

・いかに硬軟取り混ぜた潜在的支援者との接点の場を持つかということになります。

・事業の内容や課題について「説明」するのではなく、「夢」や「物語」を共有し、共感するための「場」の活用という視点が必要です。

②メッセージの3階層化

第1階層:活動対象の受益者に起こす変化を伝えている
第2階層:その団体の事業分野、近隣地域社会に及ぼす変化を伝える
第3階層:国、行政、日本社会、日本人の価値観などに及ぼす変化を伝える

③ファンドレイジング上の7つの基本事項をチェックする

Ⅰ組織のミッションやビジョンのメッセージ性の確認
・ウェブサイト等のメッセージが、外部の人にとって「夢」や「希望」を感じられる表現であり、かつ簡潔にまとめられているかを再確認するということです。

Ⅱ寄付ニーズと目標金額の確定
・「なぜその支援が必要なのか」「それはいくらで、なぜその金額なのか」「その金額が集まると、何が実現するのか」ということを特定する行為。

Ⅲ過去の実績の整理
・これまでに達成してきたこと、実績や外部機関の評価、表彰などや、支援者の数の推移など、「これまでの実績」をたな卸しておきます。

Ⅳ「支援者はなぜ支援しているか」の再評価
・「なぜほかの団体ではなく、うちなのか」ということを確認していく中で、セールスポイントを再発見していくことがあります。

Ⅴ理事やスタッフ・ボランティアなど、ファンドレイジングの中核として活用できる人材層の確認

Ⅵ既存のネットワークの確認

Ⅶスタッフや理事、支援者の成功体験の洗い出し
・「喜び」「嬉しさ」「感動」といったキーワードに引っかかる体験を洗い出し表現します。そして、事業の隠れた付加価値を発見し共有します。

2.既存寄付者・洗剤寄付者の分析を行う

④ドナーレンジチャートを使いこなす

・この分析を通して、まず現状をしっかり関係者と共有する素地を作ることが大切です。

⑤ステークホルダーピラミッド(ドナーピラミッド)を使った体質改善

・いかにして下層にいる人を上層にステップアップしてもらえるか、その「仕掛け」をいかにして日常の活動に組み込んでいくかがNPOの鍵になります。

・ファンドレイジングの成功を左右するのは、常日頃の取り組みを通して培った「縁」の強さです。地道な取り組みですが、常日頃意識して取り組むことで、関わった人が自然と関係性をステップアップしていくような「ファンドレイジング成功体質」のNPOとなりましょう。

⑥個人の寄付者がなぜ寄付するのかの「あいうえお」

・あ(愛)、い(絆)、う(内・内輪)、え(縁)、お(恩返し、面白さ)

3.理事・ボランティアの巻き込み

⑦かかわる人間のポートフォリオバランスはいいか

・以下のような人がファンドレイジングに関わっているといい
Ⅰ理事で対外的ネットワークやコミュニケーション力が高い人
Ⅱファンドレイジング担当理事
Ⅲ過去の大口寄付者
Ⅳボランティアのうち、イベントなどの企画運営力に優れた人
ⅤPR面のスキルのある人材
Ⅵ事務局長やファンドレイジングスタッフ

⑧参加型寄付

・ボランティアと寄付には相関関係がある

・「共感」は「参加」から起きやすいという側面がある

4.コミュニケーション方法や内容の選択

⑨ファンドレイジングのマトリックスを選択

・それぞれの層に別のウェイト付けをしたアプローチをしましょうということです。

⑩ACTIONのフレームワークを活用する

・ファンドレイジングのメッセージだしのACTIONフレームワーク
A(Attention):いかに相手の共感を得るか
C(Change):何を変えようとして、何を実現しようとしているか。そうした希望や夢のメッセージが含まれていることが必要です。
T(Trust):信頼性を補完します。
I(imagination):実際に事業をやることで、起きている変化や幸せの連鎖を物語化してイメージしやすくするのです。
O(Only one):ほかにない新しい取り組みにいかにチャレンジしているか
N(network):その団体のひかのステークホルダーである、いろいろな機関との繋がりや広がりを感じられるか

⑪信用力を補完する

Ⅰ「顧客(寄付者)の顔が見える活動紹介」を心がける
Ⅱスタッフの「顔」を店、パーソナル・ストーリーを語る
Ⅲ企業や行政との連携を明示する
Ⅳ知事会のメンバー構成を真剣に考える

⑫会員の制度設計を戦略化する

・「実利型」会員制度:会員になることで、割引・情報を得られたりというメリットが受けられる。

・「共感型」会員制度:サポーター制度的で寄付とほぼ違いがない。

・「仲間型」会員制度:共済的活動のため、また、そのNPOなどが所有するコミュニティメンバーになるため。

5.ファンドレイジング計画の策定

⑬計画倒れにならない計画を作るコツ

Ⅰ最初の1~2ヶ月のスタートダッシュの活動を必ず盛り込む
Ⅱうまくいかなかったとき、いつ見極めて、どう対処するかあらかじめ決める
Ⅲ理事会に実施責任者を決める

・長期的なファンドレイジング力強化の観点からは、このプランニング段階で必ず「ファンドレイジングの体質改善」を検討することを忘れてはいけません。

6.ファンドレイジングの実施

・実施する際のポイント

Ⅰファンドレイジングの実施責任者を明確にすること
Ⅱ理事会等の定期的な場で進行状況を報告すること
Ⅲできるだけ多くの人をプロセスで巻き込むこと
Ⅳ遠慮せずに「頼む」こと
Ⅴうまくいったこととうまくいかなかったことを、途中と最後に評価すること

⑭.ファンドレイジングの心理的要素を理解する

7.感謝・報告

⑮誠意と善意のコミュニケーションをメカニズム化する

 

 

非常に骨太で学びが深い一冊でした。

色々と読み進めて行くと、着実に日本が変わってきている部分・変わりきれていない部分がよくわかることも面白いですね。

 

ファンドレイジングと寄付市場を中心にまとめしたが

変わってきている部分としては

・認定NPOによる税制
・フィランソロピー教育
・寄付市場のルール作り
・寄付白書
・資金を仲介する、中間支援団体等ではクラウドファンディングでかなり増えましたね。

変わっていない部分としては

・まだまだファンドレイジングに困っている団体はたくさんあること
・まだ寄付市場のブレークスルーは起きていないこと
・まだまだ一般的なNPOの認知度が低いこと

 

変わってきている部分のほとんどはファンドレイジング協会が変えている部分ですね。

ファンドレイジング行動基準認定ファンドレイザー制度寄付の教室寄付白書ファンドレイジング・日本 2014と本当に色々と変えてきている実行力は素晴らしいですね!!

 

あとはそこに我々一般のNPOもついていき、NPOセクター全体で寄付文化のブレークスルー、民が民を支える社会を作っていきたいですね!!

 

 

 

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