徹底して普通のことをし続ける中で生まれた差別化! 「ナタリーってこうなっていたのか」

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ナタリーってこうなってたのか (YOUR BOOKS 02)を読みました。

ナタリー – ポップカルチャーのニュースサイトはここにあるように、様々なポップカルチャーを取り扱っているサイトで、自分はこういうサイトはあまり見なかったので、この本を読むまで全然知らなかったのですが、

 

不思議なサイトになったもんだ

・ナタリーは開設当初から、ひどく”普通”のメディアだったと思う。

・現在に至るまで劇的な成長曲線を描いたこともなく、ぬるっとここまでやってきた。ドキュメンタリーになるような企業ドラマとは全く無縁だ。

・奇をてらったことは何もせず、ただ淡々と取材して、ただ淡々と書いてきた。やっていることは相変わらずシンプルなままだ。

・もはやサイト全体から立ち上ってくる「ナタリーらしさ」としか言いようのない何か。言うなれば気配のようなもの。ナタリーの読者はそれを愛してくれているような気がするのだ。そう感じた理由のひとつは、読者との距離の近さにある。

・その距離の近さについて「ナタリーにはサブカル好きの熱心な読者が多いから」と分析されることもあるけど、それもまた違うような気がする。

 

ナタリー前夜

ファンだからもっと知りたい

・「どうしてナタリーを作ったのか」と聞かれたら、その答えは「自分が欲しいサイトが世の中になかったから」ということになるだろう。最近では「ナタリーは音楽ニュースのパイオニア」と言ってくれる読者もいるけれど実際はそうではない。

批評をしない音楽サイト

・自分は何をやるべきか。自分に何ができるのか。熟考した結果、当時の自分が「この2つは是態に守ろう」と決めたコンセプトがある。2001年東夷のメモには、こう短く書き留められている。

  1. 批評しない
  2. 全部やる

 

とにかくコツコツやってきた

「ファン目線」が受け入れられた

・(前略)ナタリーではそうした”ファンならではの実感”をもとに記事を作っていたし、自分が欲しかったのはそういうメディアだった。だからこそ、ファンでなければスルーしてしまうような些細なポイントをついた取材をいつも心がけていたし、仮にレコード会社から送られてきたプレスリリースをもとに記事を書くときでもそれは同じだった。

ずっとじわじわ続いている

・言葉にするとどれもこれもニュースメディアとしてやるべき、当たり前のことばかりだ。収益を上げる魔法のようなノウハウも、劇的にPVを右肩上がりにするメソッドもない。ただひたすらに普通のことを続けているだけ。もし今のナタリーが唯一無二のカルチャーメディアになれているとしたら、それは単純に、こんなに地味で面倒くさいことをやり続ける人たちが他にいなかっただけだろう。

戦争の終わりを告げるニュースキャスター

・(前略)戦争は、なんの理由も予兆もなく突然終わったりはしない。時代がそれを要求して、どこかのアーティストがそれを誰かに伝えて、その誰かがその感じをまた別の誰かに伝えて、そうやって広がった何かが戦争を終わらせる。そしてそんなアーティストたちの無意識のメッセージを、誰かの意識に定着させることがメディアの仕事だと思う。だからそれは誰よりも早くなければならないし、何よりも正確で、美しくなければならない。

・自分ができるのは誰かに何かを伝えるというただそれだけ。だからこそ今はナタリーで、そんな作業をひたすら実直に、アホの子みたいにやっていきたいと思っている。

 

「やりたいこと」より「やるべきこと」

ぬるいものはダサい

・平凡な作りを選んだナタリーが現在多くの読者を支持を得ることができているとしたら、単純にそれを徹底できたいないメディアが多いということなのだろう。

・どんなメディアだろうと、やるからには「決めたこと」を貫くべきだと思う。ナタリーの場合もコンセプトを決めてそれを徹底すべく日々努力を重ねてきた。

 

これからのナタリー

「新しさ」の次の価値

・初期は、ロケットエンジンのような斬新な機能を次々導入していたナタリーだが、アーリーアダプターへの認知を獲得するフェーズから、次の段階、すなわちより多くの読者を意識していくフェーズに移るにあたって、ニュース以外の機能はばっさりと捨てることにした。

自分で見つけることの楽しさ

・ナタリーが批評をせず、権威的な物言いを避けて、あらゆる情報をフラットに扱おうとしているのは、読者が自分で発見し、選ぶことの喜びを大切にしたいからだ。

せっかくだから見て欲しい

・自分は「ナタリーというサイト」を作ったのではなく、言ってみれば「ナタリーというシステム」「ナタリーというスタイル」を作ったのだと思っている。このスタイルが確立し、スタッフ間で共有できるようになった今、これを自分の手の中にとどめておくつもりはない。

・今の自分の興味は「ナタリーらしさ」をどうやってさらに広げ、より多くのカルチャーにどう貢献していくかに向いている。ナタリーが自分という枠を超えて、世の中にとって有用なものとしてもっと広がっていって欲しい。

ナタリーってこうなってたのか (YOUR BOOKS 02)より)

 

この本の中で強調されているナタリーがこれまでやってきたことは、とにかく普通のことを普通にやり続けたということです。ナタリーが普通じゃないところは、たぶん記事本数が多いことと更新スピードが早いことくらいでしょうか。

普通のことでも徹底してやり続けることができたからこそ、差別化につながって、ナタリーらしさが生まれています。

 

このやり方をやるのは、たぶんちゃんと差別化に繋がるまでは時間がかかるのですが、やり続けることで確実に差別化につながるという良い事例です。

 

・言葉にするとどれもこれもニュースメディアとしてやるべき、当たり前のことばかりだ。収益を上げる魔法のようなノウハウも、劇的にPVを右肩上がりにするメソッドもない。ただひたすらに普通のことを続けているだけ。もし今のナタリーが唯一無二のカルチャーメディアになれているとしたら、それは単純に、こんなに地味で面倒くさいことをやり続ける人たちが他にいなかっただけだろう。

 

このようにありますが、たぶんナタリーのやり方をずっとやり続けていくことはあまり楽しくないですし、かなり大変なことだと思います。書くのは個人の主観を入れながら書いていくほうが絶対に楽しいですし。

ただ、それをやり続けることができたメディアがなかったからこそ、ナタリーはここまで読者を獲得することができています。

 

そして、多くの個人ブロガーはこれとは真逆の個性を出すやり方をしています。

ナタリー的なやり方をしている個人ブロガーは、gori.me(ゴリミー) | iPhone・Mac・iPad・WatchなどのApple情報を中心とした最新ITニュースや商品レビューをお届け![N]ネタフルがありそうです。

そして、ネタフルのコグレマサトさんはこんな記事を書いていました。少し趣旨は違いますが。

ブログを書き始めたのはサラリーマンだった2003年で、早起きして書き、ランチを急いで食べて書き、子供を寝かしつけて書き、土日に書き、ということを3年間続けて、ようやく2006年にブロガーとして独立しました。多分、同じようにやってコンテンツを蓄積すれば、けっこうイケるんじゃないかと思うのですが、どうでしょうかね。

[N] プロブロガーになる難易度は上がっているのか?より)

 

個人でも法人でも、継続して良質なコンテンツを作り続けることができてば、少し時間はかかりますが、ナタリー的なやり方は十分に可能性がありそうです。

比例、1次関数的な成長はありそうですが、指数関数的な急成長をしていくことはやっぱり難しそうですが、本当にやり続けることさえ出来れば成長し続けることはできそうです。

 

また、東京編集キュレーターズ : ナタリーがニッチ分野で成長し続ける理由、唐木元さんに全部聞きました。という記事で、コミックナタリー編集長の唐木元さんとLINEの田端信太郎さんの対談記事も非常に面白く合わせて読むとより広く、ナタリーのやっていることを垣間見ることができます。自分の印象的な内容を二つ紹介します。

ナタリーで「通」の促成栽培をして、エンタメ業界を下支えしたい

昔は、いつどのマンガが出て、どこではどんな特集が展開されてて、どこではこんな新連載が立ち上がって、っていう情報を横断的網羅的に把握してる人って、書店員の熱心な人と、版元でも特別熱心な人くらいしかいなかったんです。業界全体を見通せるようなニュースソースを持ってて、日々それを浴びてるのは、わずかな「通」しかいなくて、逆に言うとその人たちはそれを理由に食えていた。

だけど今はコミックナタリーのTwitterをフォローするだけで、毎日毎日、興味あることもないことも、マンガの情報が滝のように降り注いでくる。TLを追ってるとその滝に打たれてるようで、つまりずっと滝行してるみたいな感じなんです。情報の滝行。その状態に慣れて1年ぐらい経つと、正直、並のマンガ売り場の書店員よりは、マンガ業界のことに詳しくなっていますよ。それは音楽でもお笑いでも一緒。

そうすると自分の好きなマンガ、自分が好きじゃないマンガもわかってくるし、あとはマンガ業界に何が溢れていて何が足りないかっていうのもわかってきたりする。そういう人たちは基本、お金を落とすことへのハードルが低くなってるんです。気になるマンガがあったら気軽に買ってチェックする人になってくれる。そういう人が、各ジャンルに数万人誕生したらどうですか。それは業界を支える、良質な購買者層を耕してることになるんじゃないかなって。そういうことを最近思いました。

 

このように、今のはやりのメディアのやり方と違う部分もありますが、着実にやることをやり続けて成長していったナタリーの話はとてもおもしろいです!

 

「なんか言いたくなる」と「最後まで読んでもらえる」のがいい記事

PVは見てるけど、PV至上主義になってはいけないっていつも自戒してます。だってPV至上主義になったら、まずは「釣りタイトル」やるでしょ。次が「サマリーばさみ」。サマリーってわかりますか? ニュース記事のタイトルを押すと、本文が出てくるかと思いきや、1段落目が出てきて「続きを読む」って書いてあるの。これ押したら、まあ単純にPVが倍になる。でも自分がユーザーだったらやっぱりウザいから、やらない。

上げたいのは、やっぱり拡散力、つまりRTといいね!の数ですね。いまの時代は単純な部数と違って、拡散によってメディアの影響力が乗数的に増えますからね。そのためには「拡散したくなる」記事であることが大事。たとえばある記者会見があったとして、ヤフーニュースみたいなポータルだと、数社がその記事を提供して、並んでいる。その中でいちばんRTやコメントが付いていると、それはやっぱりうれしいですね。だから拡散とか言及可能性ってものを比較的重視してるし、記者に対しても「なんか言いたくなる記事」にしなよ、とは常々言ってます。

 

関連記事はこちら。

東京編集キュレーターズ : ナタリーがニッチ分野で成長し続ける理由、唐木元さんに全部聞きました。
ナタリーの「フラット」さはどこから生まれているのか|コミックナタリー編集長・唐木元インタビュー|唐木元|cakes(ケイクス)
「ナタリーってこうなってたのか」に学ぶ、「誰でも回せる体制」の重要性 | 隠居系男子
「ナタリーってこうなってたのか」にみる真っ当なメディア運営4つのポイント | The Startup

 

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