IT・ネットのめちゃくちゃわかりやすい解説書! 「ITビジネスの原理」

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尾原和啓さんITビジネスの原理を読みました。

尾原和啓さんは現在楽天の役員で、その前はGoogle・リクルート・マッキンゼーなど10回の転職をしている方で、インターネットに関わるビジネスの原理、インターネットと情報・コミュニケーションの流れを非常にわかりやすく解説されている本です。

 

そして、ITビジネスの原理というけっこう堅いタイトルで、Amazonとかだけで見ると難しいハードな内容の本に見えますが、内容がわかりやすいのはもちろん、かなり読みやすい文量になっています。ここまでわかりやすいくITビジネスについて解説している本はなかなかなさそうで、とてもオススメです。

 

ITビジネスは何で稼いできたのか

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・売ろうとする商品
・その商品の価値が最も低い場所(仕入れ地)
・商品の価値が最も高い場所(消費地)
の三つを結びつけるマッチングが、ビジネスのキーになるのです。

・インターネットの最大の特徴は、空間(距離)的、時間的な制約なしに世界中を結ぶ、ということです。つまり、二つの場所が空間的にどんなに距離が離れていようが、相手の事情が手に取るように分かってしまうのです。これがどんな現象を生むかと言えば、これまでビジネスを成立させていた「場所による価値の違いを金に換えるからくり」を白日の元に晒してしまうのです。

・「点在する情報を一か所に集める」という作業は、インターネットがひじょうに得意とするところでもあります。これがインターネット上のビジネスでは基本的なスタイルのひとつになっています。

・インターネット以前のビジネスは「モノを安く仕入れて高く売る」ものでしたが、インターネットのビジネスというのは「ユーザを安く仕入れて高く売る」ものと言えるのです。

・世界中に散在しているユーザを一か所に集めて、そのユーザを金を出しても欲しいと思っている企業や人と結びつける、マッチングするのが、インターネットのビジネスなのです。

・日本ではあまり馴染みがありませんが、TAC(Traffic Acquisition Cost)という財務指標があります。これは何かと言うと、ユーザを獲得するために払っているコストです。GoogleもMicrosoftもYahoo!も、企業が評価されるときには売り上げから必ずこのTACが引かれることになります。

・インターネットビジネスにおいては、いかにこのTACをゼロに近づけるかというのが大きな課題になっています。

Googleはなぜ勝ったのか

1 ユーザのインテンションを先鋭化させて正しく把握する
2 そしてそのインテンションに基づいて最適なものを提示する

という二つの仕組みがきちんと回ることが、インターネットのビジネスでは重要なことなのです。

・強いところがますます強くなっていくのが、収穫逓増の法則と呼ばれるものです。インターネットビジネスは、情報を求めるものと求められるもののマッチングビジネスですから、情報を求めている人が多いところに情報を出す人が集まる。そして、情報を出す人の多いところに、情報を求める人が集まることになります。

課金ビジネスが成功しなかった理由

・課金ビジネスがあまりうまくいっていないのに対して、このフリーミアムというビジネスモデルが一定の成功を収めていることもあって、フリーでなければお客はこない、インターネットはフリーでなければならないという考え方があります。けれど私は逆だと考えています。課金ビジネスがうまくいっていないのは、集金システムが整っていないためです。お客がお金を払うための環境ができていないから、本来課金すべきものであってもフリーにせざるを得ないのです。

・ユーザがお金を払うかどうかは、情報の対価だけでなくて、その情報を調べる時間や支払いにかかる時間、手間、そういったトータルのコストに見合うかどうかで決まります。情報そのもののコスト、その情報を探すための探索コスト、情報を手に入れるために必要なコスト。この三つを合わせたものが、価格に見合うかどうかです。

・(前略)もちろんお金を払わなくても、時間をかけて上手になればクリアできて次に進めるんだけれど、あとちょっとお金を出せば今すぐ乗り越えられますよ、というタイプのゲームです。これは何かというとサンクコスト(sunk cost)です。日本語では埋没費用などと言いますが、回収できない費用のことで、この場合はゲームを進めるためにこれまで使ってきた時間、取り返しのつかない時間です。

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ネットが世界を細分化する

マッチングビジネスの新しいカタチ

・これまでは商品としての単位に足りないために売れなかったものが、仕事を細切れにすることで、売れるもの、価値のあるものにできるのです。細かくした仕事の一つひとつは、0・1、0・01であっても、それをたくさん集めることで100の力、1000の力にすることができる。梅田望夫さんはこれを「ゼロ×無限大」と表現しましたが、そういう力がインターネットにはあるのです。

・ITやインターネットは仕事を細切れにすることで価値を生み出すだけではなく、その細切れを集めることによって新しい価値を生み出し、普段使われていない部分を有効活用することができる。

分解されるタスク、分割される価値

・インターネットの特徴のひとつが、こうしたタスクの細分化が起きやすいということです。これまでだったら全部をひっくるめてやらなければならなかったことが、プロセス単位に分解されるのです。こうした現象をレイヤーアンバンドルとかバリューアンバンドルと呼びます

 

ネットワークとコミュニケーション

情報の進化(1)ーフローとストック

・FacebookやTwitterに代表されるSNSには、ふたつの軸があります。ひとつは友人関係を強化するためのプラットフォームという側面であり、もうひとつは情報取得ツールとしての側面です。SNSは、基本的なことをいえば友人関係の強化から始まっていると考えていいのですが、人の嗜好性というのは情報のフィルタのひとつの軸なので、結果的に情報取得メディアとして強化されるのです。

・このSNSというメディアは、社会関係性をよくするための、ものすごい革命ツールであると言えます。社会関係性をよくするとはどういうことかといえば、ふつうは友だちの管理というのはできて20人程度なんですが、SNSは3000人とか10000人とかをいっぺんに管理できる。これを「thin relationship management」といいます。つまり薄い個人の関係性を強化していくということです。

・パソコン通信以降、ここまでの流れを整理してみると、まず最初、パソコン通信時代の情報はフロー情報でした。それがウェブページの発明によってストック情報となり、ブログの出現でフロー性が高まった。ブログは一方でCGMのようなストックコンテンツを生んだけれども、SNS、とくにTwitterによってまた情報のフロー化が進んだ、ということになります。

情報の進化(2)ー情報の粒度

・(前略)Google検索により、サイト自体は「レストラン」カテゴリに含まれるようなものでなくても、そのうちの1ページでもキーワードにヒットすれば拾い上げてくれるわけで、情報を探す単位がサイトからページに変わったことになります。より小さな単位で、私はこれを「情報の粒度」と呼んでいますけれど、情報の粒度が小さくなった。小さくなることで、これまでは拾いきれなかったような情報も拾えるようになった。これはひとつの革命です。

・情報を発見する技術とは、言い方を変えると、情報を受信する技術です。受信する技術の向上によって、小さな粒度で情報を受信することができるようになったということになります。

モバイルがインターネットを変えた

・そもそもモバイルとは何かということを言うなら、iモードの次のコンセプトがとてもわかりやすく伝えています。 「24時間、7日間、30センチ以内」  1日24時間、週7日間(つまり常に)、ユーザから30センチ以内のところにある、ということです。

・コミュニケーションコストが劇的に下がったことでiモードメールの需要爆発が生まれ、用事というほどの用事ではない、有り体にいってくだらない、どうでもいいようなこともたくさんメールで送るようになりました。

・情報を受信する技術をもう少し細かくみていくと、そこには二種類の技術があることが分かります。ひとつは、キーワード検索や地図での検索のような、自分から探しにいった情報を受信する技術、プロアクティブな受信技術です。(中略)そしてもうひとつ、こちらはモバイル端末の登場と普及により密接な関係のあるもので、情報が絶え間なく、大量に流れてくることを苦にしない技術、リアクティブな受信技術です。何となくネットに接続している時間に流れ込んでくる情報は、すべてが有用なものではありません。というより大半が言ってしまえばどうでもいいような情報なのですが、どうでもいい情報を苦にしないこと、どうでもいいものとして右から左へ受け流すことはひじょうに重要になります。これができないと、どうでもいいものの中に時折挟まってくる有用な情報を拾い上げられませんし、そもそもネットに接続することすらできないようになりかねません。

 

消費されるコミュニケーション

人はなぜ情報を発信するのか

・なぜ、人は情報を発信するのでしょう。その理由のひとつは、情報発信コストです。情報を発信しようとするときに必要な経済的コスト、心理的コスト、そして物理的なコストを、インターネットは大きく軽減しました。

・情報発信のコストは、メディアが同期的なものであるか、非同期的なものであるかによっても、違ってきます。同期型メディアというのは、共時性がいちばんの特徴で、コミュニケーションが起こっている場、コミュニケーションの外側にあるものを同時に消費することになります。ということは、話の内容をコントロールしにくいので再利用性が低くなる。さらにその場にいなければならないから、コストも高くなるわけです。コストが高いから、参加する人も少なくなる。

情報発信のインセンティブ

・現在では隠しておくメリット、発信しないメリットは劇的に小さくなり、むしろ隠しておくことのデメリット、発信しないことによるデメリットが大きくなりました。発信しないことよりも発信することを選ぶのが、当然の選択ということになります。/p>

・発信しないデメリットが減ったというのは、情報発信を促す大きな要素ではあるのですが、もちろん発信するメリットは厳然として存在します。それは企業の、あるいはビジネスとしての情報発信だけでなく、個人においても同じです。それはひとことでいってしまうと「情報を発信することで、自分が豊かになる」ということです。

コミュニケーションが消費される

・情報の受け取り方としてプロアクティブ、リアクティブという分類ができる、という話をしましたが、一方で発信者側の視点で考えると、例えばニュースをジャーナリズム的な視点で意志をもって発信するような目的型情報発信と、そうした目的は持たずに、例えば個人の生活を垂れ流すような非目的型情報発信とに分けることもできます。

・課金ビジネスのところでも述べたように、情報に課金するにしても利用料を徴収するシステムがモバイルしかなかったこともあって、どうしても目的型消費としての情報発信が日本では育ちにくいという状況がありました。これが経済的なアーキテクチャとしてあったのがひとつ。文化的な構造という面では、もともと日本には私小説というか、個人のよしなしごとを読んでその機微を楽しむという文化背景がありました。(中略)こうしたことがどうして日本で起きるのか。それは日本人がハイコンテクストなものを持った、同質性の高い国民だからだろうと、私は考えています。

・それにしても驚くべきなのは、コミュニケーション市場の大きさです。当初想定していた情報系、インフォメーション・コンテンツよりも、コミュニケーション・コンテンツははるかに大きな市場になりました。日本人はそうしたコミュニケーションが大好きで、それに対してお金を払うことをためらわないのです。言い方を変えると、インフォメーション・コンテンツよりも、コミュニケーション・コンテンツの方がお金になるのです。少なくとも、日本ではそうなりました。

・日本というハイコンテクストな国は、こうした言葉ではない部分を楽しむ、隙間を楽しめるという文化がある。そのために、その部分が過剰に消費されるというわけです。 「LINE」において常に新しいスタンプが消費されているのはいい例です。コミュニケーション消費では常に人とは違う新しい刺激を求める、つまり前と違うことで人を喜ばせたいという原理があるからです。

 

ITの目指すもの、向かう場所

ハイコンテクストなインターネット

・モノを買うというのは、ただ品物を買っているだけではなくて、その商品にまつわる物語を買っていたり、売っている人との関係性を買っていたりすると思うのです。その関係性を手に入れたとき、人はもっと幸せになれるし、インターネットというのは、それを実現できる力を持ったツールであるはずだ、と思うのです。

・Amazonは「どこで買っても同じ商品を売る」ことで合理性を求め、楽天は「商品に魅力的な物語や付加価値をつける」ことで余剰を得ているということになります。私は、この楽天に代表される日本的なものこそ、私たちがこれから向かっていくべき方向なのだろうと考えています。アメリカ的なものによって作られた「無駄なき社会」から、人間と社会を取り戻せるのは、この日本的なものだろうと思います。

・私はインターネットというのは、ハイコンテクストなものとハイコンテクストなものをダイレクトに結びつけることができるものだと考えています。

・言語を介さなくてもコミュニケーションはできるし、むしろ言語を介さない方が、「Pinterest」のようにハイコンテクストな、豊かなコミュニケーションが取れるのではないか、ということです。

そしてインターネットは、人を幸せにする装置へ

・これから起きるインターネットの革命、それはギガビット・インターネットとウェアラブルである、と私は考えています。

・その時、その場のリアルな情報を楽しめるようになる、学習できるようになることで、より他人とのやり取りも楽しめるようになり、人生は豊かになります。Googleグラスは、情報取得のコストや不安を取り除くことで、人がより人間的な生活を送れるようにしてくれます。つまり、日常生活をヒューマナイズするテクノロジーなのです。

・いま、ブログやTwitterで垂れ流されている日常も、日常には違いないのだけれど、それでも「よいしょ」という感じはあるんですね。有名なレストランに行った、小洒落たカフェに行った、手の込んだ料理を作ったみたいな、リア充アピールが大半です。まだかなり構えたところがある。だけどウェアラブルによって、本当のふだんの何気ない日常を共有できるようになると、ものすごくコンテクストが繋がるんです。「はい、写真撮ります」で構えた写真ではなくて、ほんとうにナチュラルなものを自然に送るといったような、ハイコンテクストなコミュニケーションを加速するのが、ウェアラブルであり、ギガビット・インターネットなんです。

ITビジネスの原理より)

 

自分がこの本の中で印象に残っている部分はこの3つです。

  1. 「私はインターネットというのは、ハイコンテクストなものとハイコンテクストなものをダイレクトに結びつけることができるものだと考えています。」
  2. 『言語を介さなくてもコミュニケーションはできるし、むしろ言語を介さない方が、「Pinterest」のようにハイコンテクストな、豊かなコミュニケーションが取れるのではないか、ということです。』
  3. 「インフォメーション・コンテンツよりも、コミュニケーション・コンテンツの方がお金になるのです。」

 

今、コンテンツマーケティングが盛り上がってきているところですが、コンテンツマーケティングの一つの目的はこのハイコンテクストなものとハイコンテクストなものを結びつけるものでもあると思います。その企業や人の独自のストーリーや魅力などを発信していくマーケティングです。

広義でいうとエシカルとかもそうだと思いますが、その商品・サービス単体の価値だけではない、それ以上のトータルな購入に伴う体験を求める人は増えているはずですし、そこでインターネットは大きな価値を発揮しているはずです。

 

そして、非言語コミュニケーションについてですが、本書ではLINEのスタンプの事例がありましたし、最近だとYO!とかも非言語に近いですし、イレーサブルなメッセンジャーアプリもある意味非言語性が高いと思います。

このように非言語コミュニケーションが取りやすいコミュニケーションツールはたくさん出てきています。

 

3つ目はバイラルメディアが流行る前に日本はFacebookでコンテンツをシェアする文化がないからバイラルメディアは流行らないだろうという意見がありました。実際に目的型の記事のシェアは少ないですが、バイラルメディアは今のところけっこうシェアされています。

これは、一般的な記事は目的型のコンテンツですが、バイラルメディアは非目的型のコンテンツのシェアはある程度あるように思います。このような調査もあるようです。

共有するコンテンツの傾向についてだが、6つの国または地域の全体では「役立つ情報または教育・学問的な内容」の割合が高かったが、日本と韓国は「面白い・娯楽的な内容」を好む傾向が比較的高いという。「共有した際に、友達やフォロワーから最も多くの反応が得られるコンテンツ」については、インドネシアと韓国で「役立つ情報または教育・学問的な内容」がトップとなっているが、その他の国や地域では「面白い・娯楽的な内容」がトップとなっている。

SNSと企業の一歩進んだ付き合い方講座 – アジア太平洋のSNS利用が急増、“シェアしない”日本人は特異?:ITproより)

 

他にも日本で上手くいっているようなものはコミュニケーションを伴う、特に非目的型のコミュニケーションを伴うコンテンツが多いように思います。

 

また、「ITビジネスの原理」をもとにした対談本もあります。(ログミーで無料でも見れます。)

ログミー転載まとめ「ITビジネスの原理」特別編集 10分対談 けんすう 猪子寿之 林信行 仲山進也 佐々木伸一 清水ハン栄治 宇野常寛 尾原和啓

ITビジネスの原理の記事一覧 | ログミー[o_O]

 

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