モノを売るための空気を作る! 「戦略PR 空気をつくる。世論で売る。」

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何度か、自分が書評記事を書いた本の共著者としても、出ているブルーカレントジャパンの本田哲也さん新版 戦略PR 空気をつくる。世論で売る。 (アスキー新書)を読みました。

売るための空気を作ること行う、戦略PRは分野問わずに本当に大切なことだと思います。

 

「空気」でモノが売れる時代がやって来た 情報洪水と疑い深い消費者の登場

・僕は、今、盛んにいわれる「消費者に伝わりにくくなっている」ことの本質的な原因は、二つに集約して考えるべきだと思っている。あなたから消費者への情報伝達をジャマする、「二つのハードル」だ。一つは「量のハードル」、そしてもう一つが「質のハードル」だ。

・そして登場したのが、「疑い深い消費者」である。 「疑い深い」というと、ちょっと暗いヒトたちみたいにも聞こえるが、「これまでと比べると、疑い深い」というだけだ。僕も、あなたも、あなたの妻や夫や友人も、いまやみんなそう。ここでは「賢い」とも言い換えられているけれど、(ちょっと気取った言葉を使えば)「リテラシー」が上がったということなのだ。

この時代に生まれつつある格差の原因は、「宣伝のパワー」でもなければ、商品のスペックや味、効能などの「商品そのもののパワー」でもなかったりする。  え? 商品力でもなく、それを訴求するチカラでもないとしたら、他に何があるのかって? 疑問はごもっとも。それこそが本書のテーマであり、この「新しい格差」を起こすヒミツなのだ。それは、 その商品が売れるための「空気」ができているかどうか

・「空気」とは人々が暗黙のうちに共有する情報の集合体 「空気」を知るための手がかりは、日常の暮らしにも潜んでいる。僕らは普段から、周囲の「空気」を読みとろうと、無意識のうちに行動しているからだ。

・(前略)「空気」とは、こういうものだ。その場にいる人々の多くが、暗黙のうちに共有している情報や意識の集合体。本物の空気と同様で、普段は誰も意識することなどないし、目で見たり手で摑んだりすることもできない。しかし、その匂いや熱さ、風向きは、意識を鋭敏にすれば誰もが感じることができる。そんな存在だ。

・現代は情報洪水であり、消費者は疑り深くなっている。これが、「量と質の二つのハードル」を生み出している。もはや、個別の商品情報だけで、これらのハードルを越えて、消費者の心や頭の中に飛び込んでいくのは生易しいことではない。  でも、「空気」はやすやすとそのハードルを越えていく。なぜなら、空気はそもそも大勢の人に共有されているものだ。しかも、大勢の人に共有されているということ自体が「安心感」や「信頼感」に自然につながっていく(そもそも本来の意味の「空気」だって、安心して毎日吸っているものだし)。今の時代は、もしある商品にとって都合のよい空気ができあがっていれば、その商品がグンと売れやすくなる環境なのだ。 「空気」が押し上げてくれることで、あなたの商品はやっかいなハードルを越えられるわけだ。

・この「商品が売れるためにつくり出したい空気」のことを、「カジュアル世論」と定義している。 「カジュアル世論」=あなたの商品を売るためにつくり出したい「空気」

 

カジュアル世論が消費者を動かす

カジュアル世論の果たす役割

・消費者に「気づき」を与えて、「買う理由」を生み出す  公共性のある内容が、社会に広がっていく。同じ意見がどんどん共有されていく

・「やっかいな量と質のハードル」によって、そもそもの「買う理由」から与えてあげなければいけない時代になったのだ。だから、ここでいう「気づき」を与えるというのも、商品自体への気づきではない。まず順番として、なぜその商品が必要かという「ニーズへの気づき」が必要なのだ。そこから初めて商品への興味に引っ張れるようになる。「……面倒くさい」「手間がかかる!」とうんざりするなかれ。「手間がかかる子ほど可愛い」ともいうし、ひとつここは広い心でのぞもう。カジュアル世論の役割は「その商品を買うべき理由」自体をつくること、なのだ。

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・カジュアル世論をつくることは、「変化した消費者」に対応する一つの方法論であると同時に、商品やビジネスを永続化させる「土壌づくり」にもつながっている。いったんつくった「空気」はなかなか消え去らないからだ。

・僕が考える「カジュアル世論の形成に必要な3つの要素」を解説しよう。次の3つだ。 1 「おおやけ」 2 「ばったり」 3 「おすみつき」

・「おおやけ」は、「公(おおやけ)」のこと。この章のはじめで、一般的な世論について述べたけれど、世論形成には、モノゴトの「公共性」なるものが重要なのだ。そして、それをみんなで共有する。ちなみに「おおやけ」を『大辞林』で引くと、「個人ではなく、組織あるいは広く世間一般の人にかかわっていること」とある。

・「ばったり」は、「昨日アイツに渋谷でばったり会ってさー」の「ばったり」。再び『大辞林』によると、「偶然出会うさま」。そりゃそうではあるが、この「偶然」がポイントだ。カジュアル世論を広めるには、消費者との接点に、ある種の「偶然性」を持たせる必要が出てくる。

・「おすみつき」。これは、「お墨付き」と書けばわかるでしょう。しつこいが『大辞林』によると、「権力者や権威者の許可・承諾・保証など。また、その文書」となっている。こう書かれると急に大げさな感じがするが、要は、「あの人が薦めるんだから間違いないのだ!」という状態のこと。英語では「エンドースメント」ともいう。カジュアル世論を展開するには、「影響力のある第三者」の関与や推奨による「信頼性」の獲得、つまり「おすみつき」が重要な意味を持つ。

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・カジュアル世論の形成プロセスに必要なのは、「公共性」、「偶然性」、「信頼性」の3つだということだ。

「おおやけ」とは? 「オトナになった日本人」を惹き付ける公共性の要素

・(前略)彼らの消費行動は、商品そのものの便益よりも、その背後にある「公共性」への関心が引き起こしたことになる。

・日本人はオトナになったのである。大量消費社会を越えて。  そんな高尚な人ばかりじゃない? それはそうだ。みんながそうではないし、商品の特性の差や、都市部と地方の差だってまだまだあるだろう。ただ、消費社会の成熟化は進行中なのだ。その結果、みんなの中での公共的な関心が底上げされるのは確か(とても喜ぶべきことだと思う)だし、すでに企業活動だってそちらにシフトしている。オトナ化した日本の消費者を引きつける――これが、カジュアル世論における「おおやけ」要素の役割だろう。

「ばったり」とは? 「情報洪水の中での貴重な出会い」

・とにかく今のこの世の中、あえて「常識的」な感覚で考えてみれば、1日24時間の限られた中で受動的に接触する情報は、非常に低い確率の中で「ばったり」と出会っている、つまり「予想外の貴重な出会い」だということだ。では、そんな出会いが頻発したらどうだろう。

・情報洪水の時代だからこそ、「貴重な出会い」を演出する偶然性の要素が、消費者の主体的興味を引き出すのだ。

「おすみつき」とは? 「ホンモノ志向+自分だけのスタイル」を満足させる信頼性の要素

・彼らにとっての著名なドクターやカリスマアーティストは、商品や活動へのある種の「おすみつき」という魔法をかけてくれる。こうした存在を、マーケティング用語では「インフルエンサー(影響を与える人)」と呼ぶ。  イマドキの消費者に特有の、「ホンモノ志向+自分だけのスタイル」を満足させる――そのための判断基準や理由となる「おすみつき」も、カジュアル世論づくりの重要な要素だ。

・(前略)彼らにとっての著名なドクターやカリスマアーティストは、商品や活動へのある種の「おすみつき」という魔法をかけてくれる。こうした存在を、マーケティング用語では「インフルエンサー(影響を与える人)」と呼ぶ。イマドキの消費者に特有の、「ホンモノ志向+自分だけのスタイル」を満足させる――そのための判断基準や理由となる「おすみつき」も、カジュアル世論づくりの重要な要素だ。

 

PRがカジュアル世論を生み出す オバマも使った戦略PRという技術

そもそもPRって?

・PRとは、本来はパブリック・リレーションズ(Public Relations)の略。直訳すれば、「公的な(=Public)関係性(=Relations)」という意味だ。仮に企業だったら、消費者はもちろん、株主や取引先企業、従業員、メディアや専門家といった利害関係者たちと良い関係を築き、それを維持するということになる。

・「自分の良さを宣伝する」だけでなく、「周囲との関係をいい感じにする」ことで、企業や組織がその目的を達成していく。PRはそんな考え方なのだ。

PRと広告の違いとは?

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・PRでは、メディアにお金を支払って「枠」を買うことはない。行なうのは、メディアに情報を提供し、それを取り上げてもらうことだ。つまり、メディアとの関係において、PRは「商取引」ではない。PRが行なっているのは、いわば「情報の取引」だ。

・(前略)このプロセスこそが、消費者視点に立ったとき、一つの違いを生み出すわけだ。それが「信頼性」。PRの結果取り上げられた情報は、報道機関というフィルターを通過している「客観情報」だと認識される(近頃は、その報道機関の信用が失墜するような事件も多いのだけれど、それはさておき)。

・低コストで信頼性の獲得に適しているのはPRだが、コントロールしにくいのが難点だ。一方で広告の良さは、内容も情報発信のタイミングもほぼ100%コントロールできるということ。「自分のワガママを通せば通すほど、カネはかかりますよ」ということでなんだか世知辛いが、そういうことなのだ。

・「広告とPRの垣根は、どんどんなくなっていく」ということだ。さらに、「広告とPRの違いなんかは、そのうちどうでもよくなる」とまで言ってしまおう。いやこれは言い過ぎかもしれないが……。  おそらく、仕掛ける側の手法としては一定の領域分担は必要だろうし、それぞれの専門性を持った人材もそれぞれの分野で育つだろう。しかし、消費者の視点で考えると、これまでのように「これは広告」「これは記事」みたいな仕分けが難しくなっていくと思う。

1 戦略PRでは、戦略的なテーマ設定を行なう
2 戦略PRでは、戦略的なチャネル設計を行なう

・戦略PRとは、メディア、ひいては消費者の関心を最大化できるテーマを設定し、そのテーマを広げることで商品の売上に貢献するという「シナリオ」を描き、そのシナリオを具現化させるための綿密なチャネル設計を行ない、設計にもとづき情報の伝播を仕掛ける、という一連の流れだといえる。

 

カジュアル世論のつくりかた 「空気」を生み出す戦略PRのノウハウ

消費者に「気付き」を与えて、「買う理由」を生み出す

・まず大事なのは「テーマ設定」。カジュアル世論は、放っておいてできるものではない。また、世の中に広がる話題性があってこそ、価値がある。だから、まずは広げていくべき「テーマ」を設定するのだ。テーマなしに、カジュアル世論は決して生まれない。そういった意味では、戦略PRのもっとも基本的なノウハウといえるだろう。

・戦略PRのテーマ設定のコツは、「自分が言いたいこと」をテーマにするというよりは、「世の中のみんなが興味を持ってること」から引っ張ってくるというところだ。そして「商品の強み」も、うまいことその「みんなの興味」に近いところに落とし込む。ここさえ上手にできれば、あなたのプランはすでに実行に移す前に成功が約束されたようなものだ。

・この戦略PRのテーマ設定をステップにすると次のようになる。
STEP1 商品の便益に関連しそうな、世の中の「関心事」を調べる
STEP2 商品の便益を世の中や消費者の関心に合わせて翻訳する
STEP3 その二つを結びつけ、テーマを設定する
STEP4 テーマを「ニュース」にするための材料を用意する
STEP5 テーマを広げるための具体的なPRプランを策定する。

・戦略PRにおける関心テーマの役割は、自分たちの商品の強みやブランドの思いを世の中の関心に結びつけることだ。それには、社会の関心を「広く」探ることと、商品の良さを「深く」探ること、この二つのバランスが成否を分ける。

・カジュアル世論をつくるためには、この3要素それぞれに合わせたメディアや第三者的な存在を活用していくことになるのだ。こんな具合に。
1 「おおやけ」感を生み出すために  「マスコミ」の活用」
2 「ばったり」感を生み出すために  「クチコミ」の活用
3 「おすみつき」感を生み出すために 「インフルエンサー」の活用

「おおやけ」感を生み出すマスコミ

・僕はいまだに、「たくさんの人に公的に伝わる」という、マスコミの基本機能は衰えていないと思う。しかし一方で、コトはそう単純でもない。マスコミの影響力やリーチ力は、消費者の年代やライフスタイルの違いで大きく差が出るようになってきたからだ。

・マスコミを巻き込むには、あくまで一貫して「価値ある情報を提供する」というスタンスが大事になる。

「ばったり」感を生み出すクチコミ

・「ばったり」感とは、その情報やメッセージと偶然にめぐり会ったのだと、消費者に感じさせることだ。僕たちは普段、自分の意志で生活をしているし、また、そうしたいと考えている。人から押しつけられたという感覚があると、ちょっと素直に受け入れにくい。なおかつ、そもそも情報が多すぎる。だからこそ、「情報との出会い」に偶然性を感じたとき、一気にそれを受け入れるハードルは下がったりする。しかしこれは、公的なマスコミの活用だけでは解決できない要素だ。

・アメリカの調査会社によると、消費者の90%がクチコミを信頼するのに対して、テレビCMは50%以下だったというデータもある。

・こちらの伝えたいことと、ブロガーが知りたいことがマッチして、なおかつ影響力の高いブロガーにアプローチできるかどうかがポイントなのだ。

・そもそもSNSは会員制の「閉じた」メディア。上記の取り組みも、クチコミが起きることはむしろ副次的な効果で、「消費者主導の商品開発」自体に価値を見出している企業が多い。クチコミのためだけにコミュニティを運営するのは大変なこともあり、クチコミ情報を促進することに特化すれば、ブログのほうが適したメディアだといえるだろう。

「おすみつき」感を生み出すインフルエンサー

・「おすみつき」を与えることができる人々のことを、戦略PRでは「インフルエンサー=影響を与える人」と呼んでいる。なんらかの専門領域を持っており、かつ、その領域で一定以上の知名度、影響力を持っている人のことだ。

・インフルエンサーが活躍できる場を用意したり、仕事の幅を広げられるよう協力するのがコツだ。多くのインフルエンサーは、意見を社会に訴えたり、知見を役立てたいと願っている。そんな彼らが意見や知識を世の中にフィードバックできるような機会をつくるわけだ。だから、インフルエンサーへのアプローチは、「お金のパワー」ではなく、いかに「良いお見合い」にできるかがポイントなのだ。

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・「戦略PR」などと言いながら、ちょっとベタに聞こえるかもしれないが、インフルエンサーを巻き込むのに大切なのは、「人間関係づくり」だと断言しよう。

・もう一度、整理しよう。戦略PRは、単なるパブリシティではない。消費者を動かす大きな「うねり」、つまりカジュアル世論をつくるノウハウだ。  まずはテーマが必要だということ。テーマは商品から発想するというよりも、社会や消費者の関心事から設定する。そして、それを広げるために、マスコミ、クチコミ、インフルエンサーの3つのチャネルを戦略的に組み合わせる。その結果、カジュアル世論に必要な要素「おおやけ」「ばったり」「おすみつき」が生まれる。

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つくった「空気」を活かすには コミュニケーションデザインとカジュアル世論

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あなたが「その気」になるには? 「Î」が初めに必要な消費者行動

・AIDMAにしてもAISASにしても、AとI、つまり注目して興味を持つまでの部分は共通だ。そして、これまでこの部分は、広告の専売特許だった。まずはテレビCMや新聞、雑誌の広告で消費者の目を引き、広告の中身などで興味を持たせる。それが、マーケティングの必勝パターンだった。ところがここ数年、この公式が崩れつつある。最初に「Interest」がきて、その後で「Attention」が続くという流れ。

・最初に「I」を醸成しないといけないときもあるだろう。消費者は変化したのだ。商品の特性や、ターゲットが誰なのかによって、「A」や「I」の順番は、柔軟に変えていかなければならない。

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コミュニケーションデザイン時代の幕開け

・コミュニケーションデザインで重要な二つのキーワードは、「消費者本位」と「メディア・ニュートラル」ということだと僕は理解している。

・「メディア・ニュートラル」の考え方は、「何はともあれテレビCM」のような先入観なしに、消費者本位で「ニュートラルに」メディアをプランニングするということだ。

カジュアル世論と広告 ニーズを掘り起こすPRと、解決策を訴求する広告

・消費者行動のところで述べたように、カジュアル世論が消費者の「Interest(興味)」の喚起を担当し、広告が「Attention(注目)」の獲得を担う、というものだ。でも、これだとまだ曖昧なところもある。ここでいう興味は商品そのものへの興味なのか? 広告がAttentionに特化するなら、広告に興味をそそる要素はいらないのか? そもそも、広告のクリエイティブは、カジュアル世論とどう関係すればいいの? などなど。  先に答えからいってしまうと、商品の特性や置かれている状況、訴求したい内容などによって、カジュアル世論と広告の「組み方」にはいくつかのパターンがある。カジュアル世論と広告クリエイティブがほとんど一緒になるときもあれば、あえてズレた内容になるほうが得策なときもある。ついでにいってしまえば、ここでいう「広告」も、テレビCMなのか、雑誌広告なのか、新聞広告なのか、あるいはネット広告なのか……によって変わってくる。

・広告手法の特性によっていろいろあるけど、基本的には「ニーズを掘り起こす」のがカジュアル世論で、「解決策を訴求する」のが広告、という連動がもっともうまくいくように思う。

 

戦略PRの明日

失敗するのはどんなときか

・あまりネガティブな話はしたくないけれど、戦略PRやカジュアル世論づくりが「失敗するとき」はどんなときなのかも少し触れておこう。こういうのは経験でしかないと思うのだが、僕自身やまわりの戦略PRプランナーたちの(あまり思い出したくない)経験では、だいたい、次のような感じだ。
・商品に寄りすぎた戦略PRテーマを設定してしまった(話題広がらず)
・商品から離れすぎた戦略PRテーマを設定してしまった(話題が広がっても、商品に落ちず)
・マスコミ、クチコミ、インフルエンサーをコントロールしようとしてしまった
・誤ったマスコミ、クチコミ、インフルエンサーを巻き込んでしまった
・マスコミ、クチコミ、インフルエンサーへの「感謝の念」を忘れてしまった
・広告やプロモーションとの連動を、誰も考えていなかった ・戦略づくりは良かったが、実行時にセクショナリズムが邪魔をした
・中長期的な視野を忘れ、ついつい短期的な売上への貢献だけを考えてしまった
もちろん、ちゃんと企業やプランナーやPR会社に「やる気」はあって、それなりに優秀な人たちがことにあたっても、ときには起こりうるのが失敗だ。

・戦略PRは、プランニングの最初が肝心だ。ここで、「どれだけ波及力を持てるか」が決まる。また、何度も言っているように、実行が進むと、コントロールできない部分も増えてくる。だから、初動であればあるほど、慎重にコトを進める必要がある。

大きく広がる戦略PRの可能性

・戦略PRの普及と合わせて、旧版の刊行時には見えなかった可能性も出てきている。「新版のはじめに」でも触れたように、本書の内容は、最新事例を除いてほぼ旧版のままにしてある。今回追加した本文では、完全に視点を現在(2011年1月)に置き換えて、今後の戦略PRの可能性を「4つの方向性」と「二つのキーワード」で整理してみた。4つの方向性とは、①ソーシャルウェブと戦略PR、②戦略PR導入領域の拡大、③コンテンツ開発としての戦略PR、④グローバル化と戦略PR。二つのキーワードとは「トーカビリティ」と「レセプティビティ」だ。4つの方向性とキーワードをからませながら、順次解説していこう。

ソーシャルウェブと戦略PR「ばったり」の大幅増と「おおやけ」化

・ツイッターなどリアルタイムウェブが登場し、ソーシャルメディアがオープン化され、ウェブとウェブが相互につながりつつあることは、ネットの世界がより「世の中」化したことを意味する。さまざまな話題や他者との出会いが増え、より大きな話題になりやすいオープンな環境になったことで、本書でいうところの「ばったり」が増幅し、またマスコミなみの「おおやけ」なパワーも向上したというわけだ。この点では、ソーシャルウェブ時代と戦略PRの相性は非常にいいといえる。

・情報の「トーカビリティ」が重要になる。トーカビリティ(Talkability)とは話題になる力。人の「口の端」に上るチカラだ。

・ソーシャルウェブ時代と戦略PRを結ぶキーワードに「共感」がある。「今後もウェブのリアルタイム化とソーシャル化はどんどん進む。ソーシャルメディアの登場で、これまで見えにくかったクチコミが可視化されました。これからは、たくさんの人の『共感』が可視化され、伝播されていく時代。この共感をどう活かすかにビジネスの成否がかかる。いわば『共感経済』の時代です」(トライバルメディアハウス代表取締役社長・池田紀行氏)。ソーシャルメディアマーケティングの第一人者として知られる池田氏は、「ソーシャルメディアマーケティングと戦略PRの相性は抜群にいい。ソーシャルメディアは〝仲間ゴト〟が形成される場所。戦略PRは仲間ゴトの話題を活性化させ、その仲間ゴトを〝世の中ゴト〟化させる手法」と説いている。ソーシャルな時代において、仲間ゴトの話題を増幅させる共感を得ることも、戦略PRの重要な役割と言えるのだ。

戦略PRの「コンテンツ開発」パワー 消費者にレセブティブな情報を生み出す

・戦略PRという活動は大きく二つに分けられる。「情報をつくる」ことと、「情報を広める」ことだ。「情報をつくる」部分が関心テーマの開発や、それにもとづく調査実施やインフルエンサーの発掘にあたる。そして「情報を広める」部分がマスコミへのアプローチやイベントの実施、ソーシャルメディアでの展開などだろう。広告でいえば、「つくる」部分がいわゆるクリエイティブで、「広める」部分が出稿ということになる。PRも広告も、つくることも広めることもすべて大事なのだが、今後はよりいっそう、「PR発想でつくる情報」の価値が上がると思う。もっといってしまえば、PR発想でつくった情報を広告で広めたっていいわけだ。

・レセプティビティ(Receptivity)とは、受容してもらうチカラ。消費者にいかに受け入れてもらえるか、「自分ごと化」してもらえるかという視点だ。

PRは社会のムードメーカー 「明日のPR」へ

・PRは「社会のムードメーカー」である ということだ。それができるパワーが、PRにはある。みんなが思っているより、「みんなが知ったほうがいいこと」は世の中に存在するのだ。良い商品、スゴイ技術、素晴らしい人、素敵な場所、意義深い活動、共感できる考え方……。僕たちのまわりにはそんな情報が、もっともっと、隠れている。いくら情報の洪水に埋もれていようが、それはとっても意味のある情報なんだと思う。  そんな「いい情報のカケラ」を見出して、増幅させる。空気をつくる。世の中に「気づき」を与える。その結果、動きが生まれる。ニーズが生まれる。ビジネスがうまくいく。そして、そのうねりに関わる人みんながハッピーになれる――これが、PRができること。そして、本来のPRがやらなきゃいけないことだ。

 

戦略PRの明日はどっちだ!? 佐藤尚之×本田哲也

本田 事実をきちんと広めることは守って、空気をつくるっていうのが根っこにあります。「空気をつくる」とか言っちゃうと、「ヤラセ」とか「世論操作」みたいな話を連想する人がけっこういるんだけど、僕らがやっていることはそうじゃない。いろんな情報を組み合わせたり、切り口を工夫したり、あるいは強弱をつけることで、効果的に伝えているんです。これはもっと理解してほしい部分ですね。

佐藤 そう思います。インターネットとかCGMとかパブリシティとかっていうものは、いろんな媒体をつなぐ「体液」のような存在だと思うんですよね。それらを縦横無尽に使いこなせるのは、本田さんみたいなPR専門家だと思う。それを「戦略PRプランナー」と呼ぶのか、もっと大きく「コミュニケーション・デザイナー」と呼ぶべきなのかはわからないけど(笑)。

佐藤 広告っていうのは、PRのコマの一つなんですよね。だから日本でも、広告をコマとして動かせる強力なパワーの持ち主が、PRの世界に出てこなきゃ。今って、逆にPRは広告の一部品に過ぎないでしょ? そうではなくて、全体を見たうえで「このタイミングで広告が必要だから、つくって、流して!」と僕たちを動かすような戦略PRプランナーがほしいですね。

佐藤 やっぱりその主張をコンドーム・メーカーが広告でいってはダメなんでしょうね。PR主導で客観的かつ細やかにやったからたくさんの人の価値観を変えられた。今は景気も悪いし、社会全体に元気がないですから、こういうときこそPRの出番だと思う。世の中には暗い話ばかりではなく、明るい話題もたくさんあるでしょう? そういうことを世の中に気づかせ、明るい世の中にして内需をつくり出すのも、PR会社や広告会社の仕事だと思うんですよね。

新版 戦略PR 空気をつくる。世論で売る。 (アスキー新書)より)

 

自分が読んでいて思ったことが、この戦略PRの考え方というのは、NPOやソーシャルビジネスにも非常に当てはまる考え方なのかなと思います。

戦略PRは、売るための空気を作るという手法ですが、NPOの場合は、社会がこの課題を解決しなければと考えるようになること、そのために行動をしなければならないという空気を作ることが必要です。

これは、分野によりますが、受益者向けも支援者向けもどちらにもいえることでしょう。ちょっと言い方を変えるとチェンジメーカーというのは、ある意味空気作りをするような役割にも近いのかなと思います。

 

NPOが基本的にここで出てくるような大企業ほど大きな空気を作り出すことは難しいですが、「公共性」、「偶然性」、「信頼性」を上手く組み合わせていくことで、支援者の増加などに繋げていくことはできるのかなと思います。

 

 

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