行動経済で紐解くお金の使い方! 『「幸せをお金で買う」5つの授業 ―HAPPY MONEY』

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「幸せをお金で買う」5つの授業 ―HAPPY MONEYお金の使い方に焦点を当てた、行動経済学の本を読みました。

この本の内容は、NHK 「幸福学」白熱教室|番組概要でも放送されてたようなので、ある程度知っている人もいるかもしれませんが、現代社会で常識とされているようなお金の使い方、お金に対する考え方を見直すきっかけになりうる面白い一冊です。

 

・お金の使い方を変えると、その日全体の幸福感まで変わってしまうのです。使うお金がたった5ドルであっても、この効果は明らかでした。それ以来、ベルギーから東アフリカにまでおよぶ世界のさまざまな地域にこのお金の使い方の実験を広げていきました。

・ものを買うことから経験を買うことへ、自分のために使うことから他人のために使うことへ移行すると、幸福度に劇的なインパクトを与えることができるのです。

・私たちが行ったアメリカ国民を対象にした調査によれば、収入が2万5000ドルから5万5000ドルに増えれば人生の満足度は倍増する、つまり、お金が2倍になれば幸福も2倍になる、と人々は考えていました。ところが、データからは、5万5000ドル稼いでも、2万5000ドルしか稼いでいない人たちより満足度は9パーセントしか増加しないことがわかりました。

・富を得ることを考えただけで、人は他人を遠ざけるようになり、幸福を台無しにしてしまう場合があるのです。

ハッピーマネーの5つの原則

 

経験を買う

・アメリカ人の約57パーセントは、経験を買うほうが、ものを買うよりもずっと幸せになれると答えています。一方、逆だと答えたのは34パーセントだけでした。この結果にしっかりと目を向けましょう。この差は、女性、若年層、そして都市圏内に住んでいる人たちの間では、より顕著でした。さらに、男性、年配者、田舎に住んでいる人でも、基本的に同じパターンが見られたのです。

・研究者がそうした支出選択と幸福度を関連づけたところ、支出の中で重要だったのは1つのカテゴリーだけでした。冷蔵庫でもアルコールでもありません。それは、旅行、映画、スポーツイベント、ジムの会員権などを含む、研究者が「レジャー」と名づけたカテゴリーでした。

・経験は物質的なものよりも私たちを幸福にしてくれることを研究で示しています。経験を通して人とのつながりを感じられる可能性が高いからというのがその理由の1つです。

・幸福感を高める目的で行った買い物について見知らぬ人同士で会話してもらったところ、経験的な買い物をした人たちのほうが、ずっと会話がはずみました。そういう人たちは、物質的な買い物について話し合った人々よりも、相手により好意を感じすらしたのです。経験的な買い物を最優先させる人は、心が広く、知的で、外向的だと見なされます。

・ライトの当て方しだいで、買い物が経験的と感じられるかどうかも変化します。

・経験がなぜ有形のものよりも多くの幸福を与えてくれるかを理解すれば、最も満足できる経験を選ぶ助けにもなります。年齢、性別、パーソナリティなど、個人の特徴は千差万別で、それゆえどんな経験を楽しく感じるかも異なります。

・どんなタイプの経験でも、払ったお金に対して最も大きな喜びを得られるのはおそらく次のような4つの基準を満たすものでしょう。

・同様に興味深いのは、経験の時間的な長さは関係ないという点です。

・経験のもたらす恩恵は、形のあるものがもたらす恩恵よりも抽象的な場合が多いといえます。そのため、時間が経って心の距離を置いてからのほうが、経験的な買い物の価値を評価しやすくなります。遠い未来について考えるのは、宇宙から地球をながめるのにちょっと似ています。海洋や森林に覆われた陸地は見えますが、小川や1本1本の木までは見えません。そのため私たちは、直近の未来よりも、遠い未来について決断を下すときには、抽象的に考えがちです。(中略)実際、経験的な買い物に対する満足感は時が経つにつれて増していく傾向があるのに対し、物質的な買い物に対する満足感は減少する傾向があるという研究結果が出ています。

 

ご褒美にする

・お金はあらゆる種類の素晴らしいものを与えてくれ、私たちの幸福感を高めてくれますが、それと同時に、素晴らしいものをお金で手に入れられると知ってしまうことが、人生のささやかな喜びに感謝する気持ちを薄れさせ、私たちの幸福自体を減らしてしまうのです。

・あらゆるものにおいて、入手することを制限されると、歓度計がリセットされます。つまり、何かをいつも手に入れられるわけではないと知ることで、それを手にしたときの喜びがもっと大きくなるのです。

・目新しさをちょっと加えるだけで、もはや喜びを提供しないものを消費する私たちの癖を直すこともできます。

・ディナーか現金かを選んでもらうと、2倍以上の人がディナーよりも現金を選びました。現金を選ぶことは、経済的な意味で合理的で、分別があり、妥当です。でも、ご褒美の価値を考えると、たぶん幸福度にとっては有害なのでしょう。

 

時間を買う

・多くの人が、自分のやりたいことをもっとするために、自由な時間がもっと欲しいと願っています。たとえば、リズはエクササイズを、マイクはギター演奏をするためにそうした時間を使いたいと思っています。理論的には、お金でこの種の時間を買うことは可能ですが、行動経済学者のダニエル・カーネマンらが行った研究では、お金をたくさん持っている人々が、楽しみのために毎日の時間を使っているわけではないことが示唆されています。裕福な人は、買い物や仕事や通勤のような、比較的高レベルの緊張とプレッシャーに関連する活動に時間を使う傾向があるのです。

・自由時間がたっぷりあると感じている人々は、運動したり、ボランティア活動をしたりと、幸福度の拡大に関係する活動に従事することが多いようです。裕福な人々は、料理、掃除、食料品の買い物などの日常生活に必要な仕事を外注するなどして「自由な時間」をお金で買うことができるにもかかわらず、時間に関して高いレベルのプレッシャーを感じているといいます。

・希少性は価値を増すのです。そして逆に、何か貴重なものは、通常不足しているように感じられるものなのです。時間に高額の価値があると感じると、人々は時間がますます不足していると思うようになります。

・時間の価値が高まると時間の希少性も高まるので、逆に、この貴重なリソースを手放すと、時間が豊かにあるという感覚を高めることにつながります。  実際、たとえわずか15分間でも、ボランティア活動に従事すると、人々は自分の生活により多くの自由な時間があると感じます。

・だれかを助けることに時間を使うと、自分は効率的に動いていると感じるものなのです(「人を助ける時間があるなら、きっと私は自分の仕事を上手に片づけているに違いない!」というわけです)。そしてボランティア活動をする人たちは、自分は有能だと思うことによって、日常のたくさんの仕事に押しつぶされにくくなります。同じ15分という時間でも、その使い方しだいで、時間が豊富にあると感じたり、時間が足りないと感じたりするのです。

・「時間を買う」原則は人それぞれで活用の仕方が違いますが、その一方で、「通勤」「テレビを見る」「友人や家族と過ごす」というほとんどの人々にとって主要な3つの活動に費やす時間をお金を使って変えるとよい結果がもたらされます。

・お金についての決定を、時間についての決定に変えることには、驚くべき利点があります。お金ではなく、時間を考えるようになると、人々は人とのつき合いやボランティアなどの幸福を促進する活動にいそしむようになるのです。

・時間とお金は異なった考え方を促すのです。どう時間を過ごすかに関する選択は、私たちの自己意識に強く関連づけられています。対照的に、お金に関する選択は、しばしば、比較的冷静で合理的なやり方でものを考えるように私たちを導きます。時間に注意を向けると人々は幸福と人間関係を最優先させるようになります。

・人々が時間をお金と見なすようになると、日常生活のお金にはならない楽しみから喜びを見出すのが難しくなってしまうのです。

・時間をもっとお金を稼ぐための乗り物であると見なすよりむしろ、もっと幸せな時間を過ごすこと自体を目的にすることを私たちは提案します。

 

先に支払って、あとで消費する

・研究者たちはこれまで、私たちは「時間の障害」を経験するのではないかと示唆してきました。つまり、将来起こりうる出来事が、過去にすでに起こった同じ出来事よりも多くの感情を引き起こすということです。

・未来について楽しい考えを持つことができる能力は、心が健康であることの重要な特質です。自殺願望がある人とそうでない人を区別するものは、将来に対していかにたくさんの否定的な考えを持っているかではなく、むしろどれだけたくさん肯定的な考えを持っているか、なのです。

・みんなは、箱の中身が何かを知ることによって、不確実性を減らすことに躍起になっています。でも、その目標を見事に達成して不確実性を取り除くと、楽しみも失われてしまいます。何かいいものを期待しているときに反応する脳の領域(側坐核)は、それを手に入れてしまうと興味を失ってしまうのです。

・支払った金額から最大の幸福を得られるのは、どのような場合でしょうか?

・未来は過去よりも魅力的で、思い出の日々よりも、期待を抱く日々のほうがもっと貴重に感じられますが、現在ほど心を浮き立たせるものはないのです。

・顧客はたとえ待たされていても、その間に自分のために作業が行われているという印象を受けると、待つことによってむしろ満足感が増すことがあるという結果が出ています。この「作業イリュージョン」は非常に強力で、そのような場合に顧客は、同じ品質のサービスを即座に受けるよりも、待つほうを好むようになるのです。

 

他人に投資する

・新しい研究では、少ない金額でも他人のために使うと私たち自身の幸福感に効果が表れるという結果が示されています。遠い国の子どもたちや隣のスペースで働く同僚といった他人のために投資する機会を、顧客や従業員に報酬として与えると、個人の幸福度だけでなく、会社の収益も増すのだということを、これから見ていくことにしましょう。

・この実験から、たった5ドルでも、だれかのために使うと自分自身の幸福度が高くなることが示唆されます。あなたはいま心の中で、「自分は十分に人にあげているだろうか」と考えているかもしれませんね。ちょっと時間を取って、通常、毎月どのカテゴリーにお金を使っているかを次の表に書き込んでみてください。

・他人にたくさん投資すればするほど、幸福度は増したのです。個人の収入を考慮に入れても、向社会的総支出と幸福度とのこの関係は保たれました。驚くことに、このたった1つの支出カテゴリーの効果は、幸福度の予測における収入の効果と同じくらい大きかったのです。

・もっと重要なのは、幸福に関する結果はカナダでもウガンダでも同じようだったという点です。どちらの国の人々も、自分のお金を自分自身ではなく他人のために使ったときのことを思い出したあとに、より大きな幸せを感じました。大多数の国民がお金に困っているような比較的貧しい国においてさえも、他人に投資することで幸福度は高まります。そういう国々では、向社会的支出とは、ショッピングセンターで楽しい買い物をすることではなく、つらい状況でお金を必要としているだれかを助けるためのものであるのですが。  実際、向社会的支出と幸福との関係は非常に普遍的です。2006年から2008年にかけて、ギャラップ世論調査は、136カ国で代表的サンプル集団の調査を行い、世界の人々の生活に関する、これまでで最も明確な心理学的断片を明らかにしました。20万人以上の人が数十項目の質問に回答し、質問の中には先月チャリティーに寄付をしたかとか、あなたは人生にどれくらい満足しているか、という質問も含まれていました。そして、136カ国のうちの120カ国では、前の月にチャリティーに寄付した人々は、人生により多くの満足を感じていました。

・世界中の国々で、そして幼児の間にさえ、与えることの温かな喜びを見つけることができますが、だからといって、こうした研究結果は、他人を助けることから人々がつねに、純粋で混じり気のない幸福を経験するということを意味しているわけではありません。言うまでもないことですが、他人と分け合う傾向も、そうすることによって経験する喜びも、人によって異なります。

・会社は従業員のモチベーションを高めるために、能力給から歩合制、そして年の終わりのボーナスまで、さまざまな報酬案を考え出してきました。そのような案はバラエティーに富んでいるため、共通する1つの前提が見えにくくなっています。  どのやり方も根本的には、従業員にモチベーションを与える最良の方法は自分のために使えるお金で報酬を与えることだという前提の下に成り立っています。チャリティーや同僚に対する向社会的な行動のために使用できるボーナスを出すことは、新しく有益な代替的手段になるかもしれません。

・慈善活動に通じるマーケティングは、直接的な寄付の感覚を「押しのけて」しまうことがあります。商品を購入するとそれですべてが終わったような気になってしまい、購入価格の一部が慈善事業に寄付されるという意識が薄れてしまうのです。さらに悪いことに、慈善活動に関連するマーケティングでは、人々は自分の寄付がもたらす影響(だれがどのようにこのお金の恩恵を受けるのか?)よりも、自分の欲求(私はどんなiPodが欲しいか?)に焦点を合わせてしまいがちで、そのために与えることから得られる幸福が減ってしまうのです。

「幸せをお金で買う」5つの授業 ―HAPPY MONEY
より)

 

ハッピーマネーの5つの原則として、この5つが上げられています。

 

ぱっと論理的に理解をしにくい部分もあると思いますが、感覚的にはすべての原則が理解できるかなと思います。

色々な記憶を思い返してみると、納得できる内容がたくさんあると思います。

 

著者の一人であるマイケル・ノートンのTEDの動画も面白いです!

 

また、少し前にけっこう話題になっていたこのような調査もあります。

・「’02年にノーベル経済学賞を受賞した米プリンストン大学の心理学者、ダニエル・カーネマン教授が面白い研究をしています。それによると感情的幸福は年収7万5000ドル(約900万円)までは収入に比例して増えますが、それを超えると比例しなくなるんです」

・「収入の低い人にとっては、身の安全や健康、そして食糧の確保という意味で、おカネを得ることが長期的な幸せにつながります。誰も寒さで凍えたり、空腹に悩まされたりする生活を送りたいとは思いませんからね。しかし、一定限度を超えると、幸福度は上がらなくなります。そもそも金銭による幸せというのは長続きしないものです。人間は収入が増えれば増えるほど欲しがってしまうものなのですが、満足感は一瞬で消えてしまうものです」

第2部 これを超えると不幸になるらしい「年収900万円=最大幸福」説は本当か? 全角度調査「収入」と「幸福度」の相関関係 | 賢者の知恵 | 現代ビジネス [講談社]より)

 

まあ、簡単に言い換えるとある程度までは収入を増やすことで幸福度をあげることができるけど、一定以上の年収を超えるとそうはならないということです。マズローの欲求5段階説のような感じでの変化なのかなと思います。

・もっと重要なのは、幸福に関する結果はカナダでもウガンダでも同じようだったという点です。どちらの国の人々も、自分のお金を自分自身ではなく他人のために使ったときのことを思い出したあとに、より大きな幸せを感じました。大多数の国民がお金に困っているような比較的貧しい国においてさえも、他人に投資することで幸福度は高まります。そういう国々では、向社会的支出とは、ショッピングセンターで楽しい買い物をすることではなく、つらい状況でお金を必要としているだれかを助けるためのものであるのですが。実際、向社会的支出と幸福との関係は非常に普遍的です。2006年から2008年にかけて、ギャラップ世論調査は、136カ国で代表的サンプル集団の調査を行い、世界の人々の生活に関する、これまでで最も明確な心理学的断片を明らかにしました。20万人以上の人が数十項目の質問に回答し、質問の中には先月チャリティーに寄付をしたかとか、あなたは人生にどれくらい満足しているか、という質問も含まれていました。そして、136カ国のうちの120カ国では、前の月にチャリティーに寄付した人々は、人生により多くの満足を感じていました。

そして、本書にはこのように、先進国でも発展途上国でもお金の使い方を変えることは有効であることが示されています。

ここで、明らかなのはお金の使い方で幸福になることは誰にでもできるけど、お金を稼ぐことで幸福になることは難しいし効果も限定的だということが言えます。

 

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