自由に生きる見果てぬ夢! 『だから日本はズレている 「ノマド」とはただの脱サラである』

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古市憲寿さんだから日本はズレている (新潮新書 566)の書評記事の8つ目です。

この本は『「リーダー」なんていらない』『「クール・ジャパン」を誰も知らない』『「ポエム」じゃ国は変えられない』『「テクノロジー」だけで未来は来ない』「ソーシャル」に期待しすぎるな』『「就活カースト」からは逃れられない』『「新社会人」の悪口を言うな』『「ノマド」とはただの脱サラである』『やっぱり「学歴」は大切だ』『「若者」に社会は変えられない』『戦わなくても「革命」は起こせる』『このままでは「2040年の日本」はこうなる』の12章に分かれて、それぞれのテーマについて書かれています。

その8章である『「ノマド」とはただの脱サラである』について書いていきます!

 

「ノマド」とはただの脱サラである

・せっかく会社に入ってみたものの、使えない上司と面倒くさいクライアントの中で働くのも限界。そんな人に魅力的に映ったのが「ノマド」という働き方だ。日本では定期的にこうした「新しい働き方」ブームが起こる。しかし「ノマド」なんて実はちっとも新しくない。歴史を振返ってみれば、いつだって「ノマド的なもの」を褒め称えるメッセージは現れて消えていった。むしろ「ノマド」は日本で働く会社員の見果てぬ夢であるといっていい。

・1970年代に起こった脱サラブームとノマドを比べてみよう。Twitterなどのソーシャルメディアを活用する。複数の仕事を掛け持ちする、大きなオフィスを持たないなど、かつての脱サラとの相違点はある。インターネットもない時代、サラリーマンを辞めたところで独力で始められる仕事は限られていた
当時の新聞によると屋台や怪しげなフランチャイズチェーンへの加盟が関の山だったようだ。

・しかし共通点も多い。それはノマドも脱サラも共に、企業社会に対する違和感を表明し、会社に雇われない働き方の価値を高らかに歌い上げるという点だ。

「会社に雇われたくない」は見果てぬ夢である

・会社に雇われず、やりがいのある自由な仕事をしたい。それはノマドという言葉と共に流行した概念ではない。むしろ、「自由」とは、戦後日本社会における僕たちの見果てぬ夢と言ってもいい。社会学者の高原基彰によれば、戦後日本は(会社による「安定」)か、(会社からの「自由」)かという二つの極端な理想像の間を激しくぶれながら行き来してきたという。

・日本人に「安定」を提供したこの仕組みは、成立と共に多くの批判に晒されることになる。たとえば1971年5月27日の『読売新聞』(朝刊)では、「職場砂ばく」と題して、早くも問題とされていた長時間労働を次のように批判する。「人を気ちがいのように働かせたうえに、そのことに感激までするように人間をつくりかえようというバカなムードが世の中に広まっていて、これじゃあ世の中ロクなことにならねえそ」

・こういった「安定」の外側に広がる可能性に期待する議論というのは、この数十年間ほとんど進歩がないことが分かると思う。「経済成長が必要だ」「イノベーションですべて解決」というのは、低成長期の社会で決まって中興するフレーズの一つだ。

フリーターがかっこよかった時代

・1987年にリクルートの道下裕史によって「フリーター」という言葉を広める一大キャンペーンが開始された。当時すでに 人口に膾灸していた「プータロー」や「アルバイター」ではなく、「自由人」というイメージを明確にできるようなポジティブな言葉を作りたかったのだという。そこでいう「フリーター」というのは、今でいう「ノマド」に限りなく近い。

・フリーターが「社会的弱者」と認識されるようになったのはそれほど昔のことではない。たとえば2001年発刊の「新・フリーター宣言!」というムックでは、「会社に頼らず、自分の力で、人生を切り開いていく」若者たちがまだ光栄的に描かれていた。(中略)夢に向かって毎日をひたむきに生きる若者たちがまぶしい全130ページの本だ。つい出来心で、同誌に登場していた人たちをググってみたが、夢を叶えた人をついに見つけることはできなかった。

「自立」をせまった勝間和代

・どこか余裕があるフリーターたちと違って、もう少し本気だったのが、「資格ブーム」「転職ブーム」に巻き込まれた人たちだ。

・もはや会社に一生を預けて安泰だと信じられなくなった時代、様々なスキルアップの伝道師たちが「あなたの生きる道」を説いてきた。「これからはITスキルがないと生き残れません」「英語ができないとグローバル人材になれません」と。その集大成とも言えるのが勝間和代だ。(中略)勝間が新しかったのは「年収600万円以上を稼げること」という具体的な数値目標をあげて、読者に「自立」を迫ったという点だ。

・年収600万円以上を稼ぐためにはどうしたらいいのか。それは勉強し、努力することだ。勉強できないのは努力する習慣がないからに過ぎない。自分を勉強へと追い込む仕組みさえ作れば誰でも努力を習慣化できる。それこそがこの社会で幸せになる方法なのだ。だから誰もが「やればできる」。

・ところが、数年前から勝間式自己啓発は下火になりつつある。それどころか、彼女のメソッドは「スキルアップ教」と揶揄され、代わりに「本物の教養」や「リベアルアーツ」の価値が強調されるようになってきた。

・なぜスキルアップ教の時代は終わったなんて言われるのか? それは、今の日本ではスキルアップなんかしても大して幸せになれないことに、みんな気付いてしまったからだろう。英語、IT、会計知識を身につけたところで、それを十分に評価してくれる労働環境はそれほど整っていない。そもそもスキルと呼ばれるものは、すぐに時代遅れになってしまう。

やり直しがきかない社会を生きていく

・自分らしく、自分の能力を発揮して、会社に頼らず生きていけるならそんなに素晴らしいことはない。じゃあ、具体的にどんな仕事をしたらいいのか。そうした疑問に多くのノマド論は応えない。彼らはただ「スタイル」の話をするだけだ。(中略)なぜか。それは「やればできる」という「お約束」の限界をノマド論者自身も内面化しているからだろう。

・僕たちは「やり直しがきかない社会」を生きている。だけど「スタイル」だけならば、誰もが何歳になっても変えられる可能性がある。そこで繰り返し「スタイル」をめぐるノマド論が登場して消えていくのだ。職業的専門性ではなく、「スタイル」の話をするのだから、そのメソッドはおのずとスピリチュアルに近くなる。

・よほどの特殊能力がある場合をのぞいて、ノマドであろうとも結局は社会の歯車の一つなのだ。それは、会社の歯車の一つとして生きるよりもストイックさが要求される。会社員ならば歯車の潤滑油は会社が補給してくれるが、ノマドは潤滑油さえも自分で調達しなくてはならないからだ。

・「自分らしい生き方」や「会社に頼らない働き方」は、あくまでも夢だからこそ、繰り返し何度も語られるのだ。

だから日本はズレている (新潮新書 566)より)

 

 

『それは「やればできる」という「お約束」の限界をノマド論者自身も内面化しているからだろう。』という部分はすごくわかりやすいですが、これは実際にイケダハヤトさん新世代努力論 「恵まれた世代」は判ってない。これがぼくらの価値観だ。という本を出して、やればできるは幻想だということを書いています。

そして、ノマドはスタイルの提示であり、スピリチュアルな側面があるということが書かれていますが、このこと自体はその通りなのですが、このことが大切だと個人的には思うんですよね。

 

やればできるは幻想だけど、たとえ職を失ったりすることはあっても、衣食を完全に失うことは今の日本社会ではあまりありません。

だからこそ、やればできるという幻想を追い求めるよりも、ある程度生活できる中で自分らしさ追い求めていくことが大切だと思います。前の世代がどうだったのかということをちゃんとわかるわけではないのですが、会社に雇われない生活というのはしやすくなってきていると思いますし。

 

そして、ノマドって言うのはスタイルの提示だと自分も思うので、別に会社をやめてフリーランスになることが全てではなく、会社に雇われながら、ある程度自由に働いてくネオ社畜的なものもありえるのかなと思います。

社畜で何が悪い。会社勤めをして家族を守りながら、楽しく意義のあるコミュニティ活動に自分らしさを追求する。今という時代の大変革期には、ネオ社畜こそが正しい生き方なのだと思う。

未来予測 ―ITの次に見える未来、価値観の激変と直感への回帰 より)

 

 

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