ソーシャルメディアから新聞まで、メディアの基本を知れる。「MEDIA MAKERS―社会が動く「影響力」」

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LINE株式会社の執行役員とライブドア執行役員をしていて、VOGUE/GQ/WIRED/R25創刊/BLOGOS/NAVERまとめ/livedoorニュースなどのとても幅広いメディアを扱っている田端信太郎さんMEDIA MAKERS―社会が動く「影響力」の正体の読書メモです。

「2ちゃんねるまとめブログから超高級ファッション誌まで」「ネットのみではなく、印刷メディアとデジタルメディア」内容も媒体も本当に様々なものを経験している田端信太郎さんだから書けると言える素晴らしい内容の一冊です。

 

このように生粋のメディア野郎による、ソーシャルメディアから伝統的な新聞・雑誌・TVといった様々なメディアについて取り扱っていて、メディアの原論にもなるようなかなり参考になる一冊でした。

 

 

一般ビジネスパーソンもメディアの知識が必要な時代

・平均的な日本人は、NHKの生活時間調査によると、1日に4〜5時間をメディアへの接触に使います。(中略)現代は「起きている時間の3分の1はメディアの中」とまで言えるような「メディア爆発」時代なのです。

・アメリカの社会学者マイケル・ゴールドバーが提唱した「アテンション・エコノミー」という考え方があります。これは、今や人々の「アテンション(=関心)」それ自体に大きな経済価値が生まれているという考えです。

・「タレントとアテンションをどうやって集めるか」こそが、これからの起業の競争軸になっていくのだと思います。

・これからの企業にとって、キャッシュよりも大事になるタレントとアテンション。その奪い合いにおいて重要な役割を果たすツール、それが「メディア」です。例えばB2Bの業界内メディアで、自社の製品やサービス、企業文化などについて、良く書かれれば、特に始まったばかりのスタートアップ企業にとっては、タレント、つまり優秀な人材を獲得する上で非常に有利に働きます。

・アテンションを集め、タレントをモチベートする昨日を持っているのがメディアです。だからこそ、私は、これからは何のビジネスをするにも、メディアについてのある程度の理解をしておくことがビジネスパーソンには重要だと強く思います。

 

メディアとは何か?

・今、様々な形態のメディアがネット上に存在します。しかし、そのどれに対しても「メディアとは、そこに情報の送り手と受けての二者が存在し、その間を仲介し、両者間において、コミュニケーションを成立させる事を目的とするものである」という定義が当てはまると思っています。ここで、強調しすぎることはないくらい大事なことは、「メディアは必ず、受け手を必要とする」ということと、コミュニケーションにおいては「受け手こそが王様」であるということです。

・総務省がメディア上を行き交う情報流通量の時系列での推移について調べた情報流通インデックス調査(H21年)によると、インターネット上を流れる情報流通量は、H13年からH21年までの8年間で、なんと71倍に激増しました。しかし、実際にユーザーに受け入れられ、受容され消費される情報量は、同じ8年間において、たったの2.5倍程度しか拡大していません。(中略)今や情報を発信することそれ自体には、全く価値がありません。読み手に届くメディアを作り、運営を継続できるかどうかこそが生命線なのです。

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・(狭義の)Media型⇒Yahoo!ニュースが典型

・Community(&Social)がた⇒Facebook、mixi、2ちゃんねるが典型

・Tool型⇒GmailやRSSリーダーが典型

 

そこにメディアが存在する意味−影響力の本質

・皆さんは、世界最大の社内報が何かをご存知でしょうか。それは、発行体が株式会社ではありませんが、米軍が出している機関誌「STARS AND STRIPES(スターズ・アンド・ストライプス)」ではないかと、私は思っています。「スターズ・アンド・ストライプス」はほぼフルスペックの新聞に近い内容で、世界で毎日約30万部の発行です。

・私は組織にとって社内報の機能というものは大変に重要だと思います。なぜならば、強い社内報メディアがあると、組織に属する人間のモチベーション獲得において、大いにレバレッジが効くようになるからです。

・観察者というメディアの立ち位置は、ビジネスの世界における市場の創造とう過程においても大きな力を発揮します。

・創刊された「Yogini」を見て、あるいは「BRUTUS」のシェアハウス特集を見て、初めて「あ、私もやってみたいかも」と消費者はそこに自分の欲望を発見したわけであり、世が市場やシェアハウス市場が「発見」されたわけです。そして喚起された潜在的な欲望が、製品・サービスへの需要として顕在化され、さらにはメディアが介在することで、供給自体も刺激され、その好循環の結果、ヨガ業界やシェアハウス業界が誕生し成長していくのです。

・メディアという「観察者」「紹介者」と「取材対象」としての「業界」は一対の関係にあります。専門メディアと特定業界は共犯者であり、運命共同体なのです。(これは「広告会社が作ったブーム」とか「ステマ」とかそういうことではんなく、大衆消費社会とメディアとの関係性の根源的で普遍的な宿命なのだと私は思います。)

・業界とは、たとえ小さくともそれを「生業」にするものにとっては、世界です。つまり。メディアという観察者なしには世界は誕生せず、メディアという共犯者なしには、世界は成長していかないのです。だからこそ、メディアという存在は、特殊な立ち位置にあるものであり、そこにはそれ相応のモラル・責任が求められると私は思っています。

・この「予言の自己実現能力」こそが、メディアへの畏怖の念と、影響力の源泉でもありました。だからこそ、ネットメディアの「もし、情報に間違いがあったも後から直すのでオーケー」という態度は巡り巡って、自らのクビを絞めることになるかもしれない・・・と私は懸念しています。

・私が思うに、メディアの「影響力」「信頼性」「ブランド価値」の本質、あるいは、広報や経営者が一流メディアに無意識のうちにでも感じてしまう「畏怖の念」とは、前述のようなプロセスを経て発生する、予言の自己実現能力に対するものです。論理的にあり得る可能性としては、根も葉もない嘘ですら、自己実現させ、現実にしてしまう能力があるわけですから、有力メディアと言うものは神様みたいな存在ですよね。

・メディアというものには、公に向かって書いた瞬間、伝えた瞬間からその内容を自己実現化させる方向に向かう力が生来のものとして備わっているわけです。

・さて、このような文脈を経て考えると、ネット中心でやっているニュースメディア、ブログなどによくみられる「間違った情報を伝えても、事後に訂正して、謝罪をすればいい」という態度には、問題がないとは言えないことがおわかりいただけると思います。

 

「コンテンツ」の軸でメディアを読み解く

Mig

・まず注意したいのは、これらのフレームは、どちらが上とか下とか、そういう類のものではありません。

・ストック型であるとは、これは時間が経ってもコンテンツが劣化しない、つまり「賞味期限が長い」コンテンツであるということです。

・具体的には「この記事は、今すぐには読まれないかもしれないが、きっと将来において、グーグルの検索結果を通じ、今ココにはいない誰かに発見されて、その時に、強い興味と熱烈な歓迎を持って読まれるだろう。だから、私はそのことを信じて、今ココにはいないかもしれない誰かのために、良い記事を作ろう」という態度です。

・ロングテール型ワードでのSEOの視点は、技術的なレイヤーに留まらず、より編集的な視点、例えばタイトルに入れる見出しの工夫など、あらゆる側面から強調しすぎてもしすぎることはないほど重要なことになっています。「ストック型コンテンツではSEOを意識せよ!」これは鉄則です。

・フロー型のコンテンツは、ストック型の逆で、「鮮度が命」のまさしく生鮮食料品のような「今、この瞬間」が勝負のコンテンツです。

フロー型<<<<<< >>>>>>ストック型

Twitter>ニュースサイト>新聞>週刊誌>月刊誌>ムック>新書>単行本

・プロのメディア業界人としては、フローとストックの両方を自在に行き来し、使い分けられるようになりたいものです。

・権威性と参加性を考える上でキーワードは、「コントロール」と「意思」そして「責任」です。

・自分がメディア編集者として、何をコントロールして、何をコントロールしていないのか、似ついての[自覚は、プロとしての必須態度です。これは紙だけでなく、ネットにも100%当てはまる態度です。

・メディアにおける「権威性」とは、コミュニケーションの場面において、対峙する受け手を「思考停止させ、自分の言っていることを受け入れさせてしまえる力」とも言えるわけです。

・参加性に重きを置くメディアならば、読者の「脳味噌」をメディア内容にフィードバックさせることができます。そこには、読者を単なる「受け手」「消費者」を超えた存在にまで高め、双方向で好循環のループを生み出していくという可能性が広がっています。しかし、この予測が困難な自己増殖プロセスの結果に基づく成果物は、メディアを運営し編集している側からは「コントロール」できないのです。完全にコントロールできないのですから、それに対し、完全に責任を取ることもできません。そこに参加性を重きに置くメディアの直面する大きなジレンマが存在しています。

・編集する「意思」をもって、成果物をコントロールできる限り、コントロールし、その成果物を、受け手がやみくもに信頼してしまうところに権威性メディアの特徴があります。これは社会において影響力を持つことこそがメディアの存在意義という意味で、メディアにとって非常に意味のあることです。そして、権威性メディアの対局にある参加性メディアには、そのオープンさや集合知的な部分に大きな可能性があります。しかし、その全体としての「意思」や「責任」が誰に帰属されるべきなのか?を巡ってはまだ全く答えが出ておらず、現在進行形の問題であり、2010年代のメディアのあり方を巡る興味深い論点だと、私は思っています。

・リニアとは線形のことです・メディア・コンテンツの消費に即して言えば、リニアなコンテンツとは、初めから終わりまで一直線に連続した形で見てもらえることを想定したコンテンツということになります。

・長期的でしか、大きな改善が期待できないものの代表が(オーガニックなSEOの観点からの)「検索流入」です。(中略)言わば「座布団」のように常にサイトのアクセスを下支えしてくれる存在になりますから、やはり大変重要な項目です。

・最も「リニア」なコンテンツの典型が映画です。(中略)お客さんを映画館の中に連れ込んでさえしまえば、2時間前後という長時間にわたって、「オレ様ワールド」を存分に展開することが可能です。鑑賞者は、どういう映像を、どういう順序で、どのように見せられるか?その時間軸について全権を映画監督に預け、ある意味物理的にも、その身を委ねざるを得ないのです。

・ノンリニアなコンテンツの特徴とは、制作者側ではなく、読者側に時間軸のコントロールが委ねられており、最初から見なくてもいいし、どこからどう見ても成り立つように断片化されてバラバラになっているコンテンツということです。

・ウェブサイトが典型ですが、デジタルメディア上では、ほとんどのコンテンツがノンリニア志向になっていく、ある種の「引力」の影響下にあります。

・リニアなコンテンツ形態とは真逆の「ノンリニア化」さらには「マイクロコンテンツ化」がどんどん進展しているのが、今のメディア・コンテンツ消費の現象です。そして、現代のメディア消費者は、特にPCやスマートフォン上では、時間軸を自分でコントロールすることに慣れきっています。

・「フロー」⇔「ストック」、「参加性」⇔「権威性」、「リニア」⇔「ノンリニア」の3次元において、デジタル化やスマートフォン化、ソーシャル化の進展は、「フロー」⇔「ストック」の軸においては、引っ張り合う力が拮抗して中立に思えますが、「参加性」と「権威性」の軸では「参加性」へ。「リニア」⇔「ノンリニア」の軸では、「ノンリニア」の方へと、コンテンツのあり方を変えるように「引力」を発揮しつつあると私は見ています。

 

「メディア野郎」へのブートキャンプ

・私がこれまで見てきたところ、成功している一流メディアでは明示的か、暗黙的かは別にして、その読者がどういう人なのか?を活き活きと独り語りするような、いわゆる「ペルソナ」と呼ばれるものが、関係者の「脳内」に存在しています。

・私が思うにメディア編集者にとっての読者「ペルソナ」の設定とは、ユーザーを定量調査に基づいて収集されたデータ数値の集合として把握するだけでは不十分です。あくまで「一人の生活者」として、電車の席であなたの隣に座るかもしれない生身の人間のようにイメージし、本人すら気付いていないようなその心の奥のヒダまで含めた、深層心理への洞察を伴って、あたかもイタコのように自分の脳内に疑似人格を「住まわせる」域にまで到達できることが望ましいと思っています。

・R25編集責任者の藤井大輔さんがM1読者層の「イタコ」と化すプロセスは「R25」のつくりかた (日経プレミアシリーズ)に描かれていますので、ぜひご興味おありの方はお読みください。

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・ここで大事なことはKPIの数字を見るだけではなく、その意味について考え、具体的な状況に基づいてその増減理由を納得し、改善のための具体的な行動に移していくことです。

・ブランドがブランド足り得るにはためには、消費者が作り手に対して、底の見えない深い井戸を覗き込むように、得体の知れない尊敬や信頼を感じることが理想的です。

 

メディアとテクノロジー

・その意味では、SEOの重要性などは、純粋に技術的なレイヤーの話に留まりませんし、「グーグルが、文章の文体や構成そのものまでも変えている」とも言えます。デジタル化(つまりはノンリニア化)によって、メディア消費は全体として、どんどん、即物的で刹那的で断片的なものへと変化していっています。しかし、プロのメディア人として、このこと自体を嘆いていても仕方がありません。海に出た漁師が天候の変化に歯向かうようなものです。

・メディアの作り手もプロとして、どのような技術環境を通して、どおようなTPOで(例えば、通勤電車の中?寝る前に寝室で?会社のデスクで?)、自分の作っている、関わっているメディアが利用され、消費されているのか、今後されていくようになるのか?に最大限注意を払い続けるべきだと私は思います。

・皆さん、新しいメディアが出てくるたびに、「このメディア上では、ユーザーはどのような無言のメッセージをアーキテクチャから受け取るのだろうか?」と自問自答し続けましょう。

・現在のメディア状況では、「そもそも、自分たちはなぜ、このメディアを運営するのか?」という、もともとあるミッション・使命に忠実であろう、というスピリットが決定的に重要になっていますから。そのような「純度」の高い思い、「使命に殉ずる情熱」こそが、紙だろうが、ウェブだろうが、ソーシャルメディアだろうが、メディアの形態に関係なく、もっとも速く幅広く受け手の心に響き、社会に伝播していくものだからです。

 

劇的に変わるメディアとメディア・ビジネス

・より高い次元で消費者が求める提供価値を再定義し、根本のニーズに立ち戻っていくことこそ必要です。

・当たり前を常に疑い、消費者のニーズを、あるいわ自分たちの本来的なミッションを、これまでのしがらみを脇において、常にゼロベースで考え続けることが必要です。

・「シブヤ経済新聞」や「ディマンドメディア」のような新しいニュースメディアが出てきた時には、「そんなもの、ジャーナリズムではない」という議論がよく出てきます。しかし、私に言わせれば、これは寿司職人が「回転寿司なんて寿司じゃないね」と言っているレベルの議論に過ぎません。消費者が、寿司業界の内側の「あれは寿司じゃない」と同業者の足を引っ張るような内輪揉めの議論に、興味を持つはずがありません。

 

拡大する、個人型メディアの影響力とこれから

・今や、「会社の寿命」が「個人の寿命」より短いと言われる時代になりました。そんな時代に「信頼」が成功への最重要のカギとなるメディアの世界において、「個人メディア」の存在感が大きくなっていくことは、必然的なことだと私は思います。

・本書を読み、新規メディアの立ち上げ人になろうという皆さんにおかれては、自分はメディア人として、ビジネスパーソンとして、ある分野における信頼され影響力を持っている「個人型メディア」にどう関わるか?そこで披露される知見と自分たちはどのように差別化するのか?あるいわ個人型メディアを運営しているようなパワフルな有力者をサポートする側に回るのか?いっそのこと自らが「個人型メディア」を起こしていまうのか?こういう問いに対しても、真剣に考えることをお勧めします。

・出版情報提供ビジネスが、個人でも完結可能になりつつあることを前提に、どのようにメディア業界が再編成されていくか?どのようにアンバンドリングを経て、どのようにリワイヤリングがなされていくか?ということこそが、メディア構造の変化の本質だと思っています。

・メディアの本質的な存在理由は、情報の縮減機能をもたらす「信頼」と、それが生み出す受け手への「影響力」にこそあります。

MEDIA MAKERS―社会が動く「影響力」の正体より)

  

 

このように、ソーシャルメディアから新聞のような伝統的なメディアも取り扱っている非常に幅広いメディアについて取り扱っているメディアビジネス書です。

自分はこの本で初めてメディアについて学んだのですが、内容もわかりやすくストックフローといったメディアの基本的なところから、メディアの本質まで考えることができますし、ペルソナマーケティングと言ったマーケティング手法まで書かれていて、メディアについて幅広く知ることができるとてもいい一冊です。

 

また「メディアの作り手もプロとして、どのような技術環境を通して、どおようなTPOで(例えば、通勤電車の中?寝る前に寝室で?会社のデスクで?)、自分の作っている、関わっているメディアが利用され、消費されているのか、今後されていくようになるのか?に最大限注意を払い続けるべきだと私は思います。」とありますが、今さらにそれが重要になってきていると感じます。

コンテンツマーケティングや、マイクロコンテンツ・バイラルメディアの流行、逆にSEOを重視した長文コンテンツと言った様々なメディアを巡る環境の変化があったからこそこのような現象が起きています。

 

NPOのような小さな組織の広報担当から、企業の広報を勤めている人まで幅広く読む価値ある本です。

 

また田端信太郎さんのTwitterも非常に面白いです。プロフィールにあるように、本当に「戦略論から下ネタ」まで幅広い内容のtweetがあります。

 


 

 

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