あなたの行きたい会社は何で稼いでますか? 就活前に読んでおきたい『「強い会社」はセグメント情報で見抜きなさい 「ソニーは金融業」「TBSは不動産業」』
「強い会社」はセグメント情報で見抜きなさい 「ソニーは金融業」「TBSは不動産業」――財務諸表で読み解く各社のプラチナ事業という本を読んだのですが、これはめちゃくちゃいい本ですね、投資家はもちろんですが、就活前の学生とか、転職活動中の人とか読んでおくと為になるでしょう。
ちゃんと財務諸表とかを自分もまだ読めるわけではないので、なんとなくしか知らなかったのですが、「ソニーは金融業」「TBSは不動産業」とあるように、C向けでやっているビジネス、その会社がどういうビジネスイメージなのかということと、その企業が何をして稼いでいるのか、儲けているのかということは必ずしも一致しません。
そのことを色々な種類の大手企業の事例から示してくれています。
今日から就活解禁なので、企業研究・業界研究のために活用することができそうな一冊です。
この本の事例の中に行きたい企業の事例が入っていればもちろんですし、入っていなくても面白い内容です。
アップル×マイクロソフト
「普通の会社になりつつある」は誤解 世界トップクラスの業績を依然維持・(前略)コメントは当たっている点もありますが、両社の数字をきっちり見ていくとアップルもマイクロソフトも極めて高い財務的パフォーマンスを発揮しており、「普通の会社になりつつある」「時代は終わりつつある」とはいえません。
・両社の財務データの特性は似ています。営業利益率ちROEは30%という高水準を維持しており、企業の安定性を示す自己資本比率は6割り程度と高く、総資産に占める金融資産の比率が5〜7割というキャッシュリッチな企業なのです。
マイクロソフト
オフィスとウィンドウズで利益の全てを稼ぐ
・マイクロソフトの強みと弱みは、事業別のセグメントごとの数字を見ることによってはっきりしmす。マイクロソフトの事業別セグメントは五つ。アニュアルレポート(上場企業が年に1回、財務情報や経営状況などを外部に開示する年次報告書)には、セグメントごとに競合企業も挙げています。
アマゾン×楽天
ビジネスモデルが異なるので数字の単純な比較は無意味・日本ではアマゾンと楽天はネット通販(Eコマース)の二台企業として知られており、利用者から見ればアマゾンも楽天も同業です。ところが筆者は初めて両社の財務データを比較・分析した際、数字に違いがありすぎて戸惑い、解釈できませんでした。
・両社のセグメント情報を読み込んで分かったのは、一見同業に見えるアマゾンと楽天はビジネスモデル(売上と利益を稼ぐ仕組みが)全く異なることでした。
・両社はメディアで比較されることも多いのですが、両社の財務データを単純に横並びで比較しても意味がありません。その理由は二つです。第一の理由はほぼ小売専業のアマゾンに対して、楽天は金融事業(楽天カード、楽天銀行、楽天証券など)のウェートが高いからです。(中略)第二の理由は、Eコマース事業でも2社のビジネスモデルは異なるからです。アマゾンは自社で商品の仕入れから販売、代金回収まで一貫して手がける小売業ですが、楽天は多数の店舗が出品する楽天市場という共通のショッピングモールを管理運営する企業です。
アマゾン 高成長でも拍子抜けするほどの低収益
・アマゾンの低収益について、「アマゾンは余計な利益を出すことなく、顧客サービスに還元しているため」という好意的な解釈をしばしば見ます。
・低収益の一員として考えられるのが同社の独特なコスト構造です。アマゾンの2013年12月期の販売費・一般管理費は役195億ドル(2兆163億円)(売上の26.2%)ですが、内訳を見るとアマゾンらしい項目がいくつもあります。フルフィメント(受発注・倉庫・配送関係)86億ドル(8892億円)、テクノロジー・アンド・コンテンツ66億ドル(6824億円)、マーケティング31億ドル(3205億円)などです。とりわけフルフィメント(受発注・倉庫・配送関係)に売上の10%以上のコストをかけている点が注目されます。
楽天の利益はセグメント情報ごとに見る
・会計上の売上に対する営業利益率は10%台で推移しています。アマゾンの営業利益率1%台と比較すると優劣は明らかですが、そもそも両社のEコマースの売上計上基準が違うので単純比較はできません。
誰でも経営分析ができるコツ
必要な情報源は四つだけ
- ウェブサイトのIRコーナー
- ウェブサイトの製品やサービスの情報
- メディアの情報
- 自身による原理・現物の実感・体感
セグメント情報の名称と商品を対応させる
・決算通信や有価証券報告書には、過去二年間の事業、所在地別セグメントごとの売上、営業利益、資産などが記載されています。ただし厄介なのがセグメントの名称だけでは、何の事業に該当するのかわかりにくいことです。資料の説明には素っ気なく、商品やサービス雨の具体的なブランド名などは書かれていません。
日本企業は通算決算時の情報が豊富
・さまざまなIR資料の読み方は次の方法をお薦めします。
- 最新版のアニュアルレポートで全体像をつかむ
- 通算決算終了時の決算通信と決算説明会資料を読み込む
メディア情報で補足
・企業が発信する情報を補うのが「メディアの情報」で、筆者が日ごろよく使うのは「会社四季報」「日経会社情報」、決算発表を報じる「日経新聞」などです。
(「強い会社」はセグメント情報で見抜きなさい 「ソニーは金融業」「TBSは不動産業」――財務諸表で読み解く各社のプラチナ事業より)
「アップル×マイクロソフト」「アマゾン×楽天」の情報のみを抜き出しましたが、他にもソニー、TBSなど様々な企業のセグメント情報が紹介されています。
就活をするさいは、企業研究・業界研究を行いますが、これらの事例以外にも、想像とは違ったビジネスモデルを作っている企業、儲け方をしている企業はたくさんあります。
ただ、企業のIRを実際に見るとわかりますが、色々な種類の資料がありますし、実際にダウンロードしてファイルを開くとめちゃくちゃ長いです。
自分も今回どこかの企業のIRを見て、実際に分析をしてみようかなとも思いましたが諦めました。
けど、これをやると企業をより深く知ることができると思います。とりあえず、この本を読むだけでも色々なタイプの企業のビジネスモデルを知ることができます。
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